■ 今 週 の 特 集 ■
ちょっぴり硬派な内容から、かる〜いノリのネタまで、
幅広く取り上げています!

→その他の特集記事


2005.10.30号

山田俊彦氏写真展第12回
■■ トラコタルパン ■■

注:全ての写真の著作権は山田俊彦さんに帰属します。
無断でのご使用はご遠慮ください。
写真をクリックすると大きな画像で見られます

山田俊彦さんのプロフィール

写真についてのご質問や、リクエストなどはこちらから!

写真展第12回目は、世界遺産都市、トラコタルパンです。メキシコにはまるでおとぎ話の世界のようなかわいらしいコロニアル都市がたくさんありますが、グアナファトやタスコなどは観光客もかなり増えて、ちょっと騒々しい感じすら受けるようになってしまいました。そんななか、トラコタルパンはまだまだ訪れる人の少ない穴場中の穴場。静かにゆったり街の雰囲気を満喫したい、そんな人にぴったりの街のようです。

それでは、写真と山田さんご自身による説明をお楽しみください。

* * * * *

★ トラコタルパン お伽噺のような街 ★

カンデラリア祭りと国立民族舞踊団の巨大な頭の人形が陽気に踊るトラコタルパンの祭り以外は、この土地が世界遺産になるまでは知っている人は多くありませんでした。メキシコには日本よりも多い25の世界遺産がありますが、世界遺産を意識して訪れたのはここが初めです。そうでなければ、行きそびれるところでした(未踏破4ヶ所)。

ベラクルスの東約90km、パパロアパン河の真珠と言われてきた、16世紀に始まった人口15,000人の綺麗なコロニアルの町。白川郷、ハンガリーのホーロッコ等と同じく、住民が住みながら建造物と街の雰囲気を守って来た事が評価され、1998年に世界遺産に登録されました。ルイス・バラガン邸に次いで小さな世界遺産でしょう。

パパロアパン河。
雨季だったので流れも多く速かった



↑トラコタルパンの古い地図。
1786年にはまだ島だった


↑トラコタルパンの新しい地図。
上の地図とは上下が逆。
見事に区画整理されている

日本の観光客は旅行社のコースに入っていないためか、未だ訪れた方は少ないようです。人影の殆んど無い街でのんびり過ごすこの風景は、一見の価値が有ります。
http://www.tlacotalpan.gob.mx/

20世紀初めに、ベラクルスに大きな港湾設備が出来るまで、ヨーロッパ始め各国からの船はパパロアパン河を遡航してここに入港し、町は貿易で栄えてきました。今見ると、この河をここまで入れるような小さな船が、よくぞ大西洋を渡った、と信じられない気がします。



綺麗なこれまた小さいソカロ。


色鮮やかな市庁舎。
これだけは複数の色で彩色されています。



静かな街は碁盤の目に仕切られて、各家々は他の町で見かけるような原色のままではなく、鮮やかなパステルカラーに彩られ、それぞれ異なった柱、アーチ、窓枠を持っています。

同じ形のアーチが続く家々は、隣と異なる塗装で区別しているのも面白いです。(上の写真)

この中には豪邸も、スラムも商店もなく、メキシコには珍しい画一的な造りの住宅です。

住民はみな穏やかで、笑顔が何ともいえない町の雰囲気を醸し出しています。

真昼間の人影も駐車した車もない時は、映画のセットに迷い込んだかのようです。

 

 

↑この町の笑顔!   
すべての人々がとても温かい   



ララの記念館
作曲家のアグスチン・ララもここに住み、有名なMaria Bonita、Solamente Una Vezを作曲しました。そこが、小さな博物館になってます。画家Salvator Fernadoの家も小さな博物館で、誰もおらず三毛猫が留守番をしていました。ディアス大統領もここが気に入って、別荘を持っていました。

大きな建物はほとんどなく、唯一古いものでは劇場があるくらいで、町の全貌を眺める高い家屋すら見当たりません。

右の写真はそのTeatro Netzahuacoyotleで、ディアス大統領が出席して柿落としがされました。1904年にはイタリアのオペラ歌手Luisa Tetrazziniがルチアを、その後Mario Cavaradossiが道化師、トスカ、カバレリア ルシチカーナを演じた記録が残っていました。


河畔のレストランで食事もできます。川エビをはじめ、美味しいものがたくさんありました。船で川の上から街を眺めるのも良いでしょう。川辺なのでものすごく蚊がいます。防虫剤を持って行かれることをお奨めします。一日で十分見尽くせますが、この静かな雰囲気を味わうために、是非一泊される事をお勧めします。

↑川エビ。

この地方独特の、中空になったパン。
名前をご存じの方教えて下さい。


ホテルは小さなのが3軒、計70室しかないので、早めの予約をされて下さい。2月2日の有名なカンデラリア祭りの時期の確保は絶望的です。

最近開業したホテル(Tlacotalpan)で昼食をとったら、初めての日本人客だといって、料金を受け取りませんでした。元市長夫人の経営で、住宅を改装したもので、珍しく3階建て。屋上から市内が全貌が見渡せます
http://mexcon.com/tlacotalpan.htm



San Cristbal教会。
祭壇が全部木製なのも珍しい
この辺は木材の入手が容易で、その昔ヨーロッパからの輸入家具をまねて生産を始めたので、今も工房が沢山あります。

教会の内装も珍しく木材を豊富に使っています。

DFからのバスは、直行(夜行)のADO社の便があります。ベラクルスからは直行便で一時間40分、ローカルバスだと2時間かかります。車で行かれたら、少し先のメキシコで一番美しい湖と言われているCatemacoまで足を延ばすのをお奨めします。


Canderalia教会


Canderalia教会の内部


上記San Cristbal教会の外観


上記San Cristbal教会の外観







山田俊彦さんプロフィール

1967年から3年間、駐在員としてメキシコに滞在。その後、仕事で10回以上,遊びを兼ねて数回訪墨し、滞在期間を合わせると延べ5年間ほどになります。その間撮った写真が数千枚!きっちりPCに保存されていて、お宅を訪問したayaもkanaeもひたすらその整理術に脱帽。。。メキシコ以外の旅行もたくさんなさっており、今一番のお勧めは「チュニジア」。メキシコについては鉄道もお詳しく、今ではほとんど不可能な「メキシコ・列車の旅」をたくさん実現なさったとのこと。音楽から民芸品から食べ物から、何から何までメキシコのことを心から大切に思っておられるのが、暖かなお話ぶりから伝わってきました。

(kanae)


このページのトップに戻る