■ 政治ニュース ■

2002.03.25号

ウルグアイがチリモデルをベースにしたメキシコとの自由貿易協定交渉へ

ウルグアイは今年5月に、チリとの交渉経験をベースにしてメキシコとの自由貿易協定交渉を開始することを目指している、と情報筋が明らかにした。ウルグアイのオブセルバドール紙は、バトレー・ウルグアイ大統領とフォックス・メキシコ大統領が国連開発資金会議で3月21日に開始した交渉の情報を明らかにした。ウルグアイにとってはメキシコとの交渉は市場拡大と南米共同市場(メルコスール)への依存を断ち切るための戦略的重要性を持っている。オペルティ・チリ首相はメキシコのデルベス経済相と20日に会談し、両国の公証人のグループも同席、大統領同士の政治的合意を実現するために意見交換をした。
5月にはメキシコシティで省庁レベル会合が行われ、1999年以来有効となっている合意の適用範囲をいくつかの部門で拡大し、また除外されている部門については合意に含めていく方向で検討することになっている。ウルグアイは衣料部門・ウールなどの繊維部門・自動車用製品などの財をメキシコ市場に提供することを目指している。Notimex, Montevideo (2002/03/23)

国連開発資金会議閉幕−「モンテレイ・コンセンサス」をキューバの合意なしに「満場一致」で採択

国連開発資金会議に参加した100カ国は、貧困撲滅のための「モンテレイ・コンセンサス」と名付けられた合意を3月22日「満場一致」で採択した。5日間の協議の末、貧困国への開発資金援助を行う取り決めを公文化した合意書の採択にいたった。先進国の開発途上国に対する政府開発援助(ODA)を国民総生産(GNP)比0.7%に引き上げる目標を再確認することなどを盛り込んだ。フィデル・カストロ議長が前夜に宣言したとおり、キューバのみが調印しなかった。会議のコーディネータを務めたオスカル・デ・ロハス国連代表は、このコンセンサスはカストロ議長が言うようなアメリカを筆頭とする「経済大国の押しつけ」ではない、と強調した。キューバのカストロ議長は21日、貧困諸国を救済しようとする富裕国の姿勢を批判、富裕国は「虐殺行為のような」経済システムにより世界の人々を略奪し窮状に陥れた、と非難していた。Proceso, Reuters, Monterrey (2002/03/22)

フォックス大統領とブッシュ大統領、国境の安全を強化するために協力

メキシコのフォックス大統領と米国のブッシュ大統領は22日、国連開発資金会議の開催地となっているモンテレイ市で二国間協議を行い、国境の安全強化のための同盟を組むことを宣言した。ブッシュ大統領と共に記者会見を行ったフォックス大統領は、「利口な国境」と名付けられたイニシアティブは、「安全率」を導入しそれを一定レベルに保つことを目指し、同時にヒトと財のスムーズな移動を維持するために国境および関税での効率アップを追求するものである、と説明した。ブッシュ大統領は「我々が共有する国境は麻薬とテロリストの通行を遮断し通商及び合法な移動に対して開かれたものにしなくてはならない」と述べた。Associated Press (mar 22, 2002)

米・墨・加首脳が三国間関係を分析

メキシコのフォックス大統領、米国のブッシュ大統領、カナダのクレティエン首相は21日夜、三国間関係を長期的視点でとらえていくことの重要性について話し合った。北米共同体の新しい方向性を形作るような価値観と利害関係へと三国が徐々に統合されていくことが必要であると指摘した。メキシコ大統領府の公式声明によれば三者は、三国の利益のために関係をより制度化していくのに必要な方策について言及した。同時に北米地域の安全保障も議題に上り、特に、国境を安全で効率的なものにするため政策面で協力しあうことの必要性を強調した。フォックス大統領は、公共部門および民間部門の参加により北米地域の開発計画を推進するという共通の目標を強調した。三国の首脳は定期的に会合を持つことで合意、とりあえずは10月にメキシコで開催されるAPEC首脳会議で再び会合を持つ。Notimex, Monterrey (mar 21, 2002)

ニカラグアでガラン・元メキシコ大使逮捕命令

ニカラグアの判事はアーノルド・アレマン前ニカラグア大統領と6人の政府高官を、国家の利益を損なうような汚職と違法な協力関係にあったとして、裁判を開始することを決めた。国営テレビがらみの汚職事件の判決にさいし、アレマン前大統領のスポークスマン、その他二人の政府高官、および在ニカラグアの前メキシコ大使であるリカルド・ガランを含む二人のメキシコ人の逮捕を命じた。国営テレビ、カナル6に対し、150万ドルの資金横流しが行われていたこの資金は、ガラン前メキシコ大使と結びついたカスコという企業を通じて、メキシコのテレビ局、アステカTVとの番組契約に使われた。La Jornada, Ciudad de Mexico (mar 22, 2002)


2002.03.18号

3月18日よりモンテレイ(メキシコ)で国連サミット−主要議題は開発基金問題

現在の厳しい世界的不況の中で、最貧諸国が開発のために必要な資金を獲得できるための援助を行うことが、3月18日からメキシコ北部のモンテレイ市で開催される国連サミットの主要な議題となりそうだ。

アナン事務総長は、今回開かれる国連の開発資金国際会議は、開発のためにどうしても必要な金融資源の流動化を図る最善の機会だと述べる。ブッシュ米大統領とシラク仏大統領、アスナール西首相を含む50名ほどの国家元首らと、数千人に及ぶ企業家、官僚及び活動家らも、今回の会議に参加することになっている。

今回の会議は、昨年9月の米国同時多発テロ事件以降の経済減速によって、ますます緊急を要した。しかし開催以前から、融資の資金繰りについてや最貧国の援助方法についてはこの会議は何の成果ももたらさないであろうとの批評も受けている。NACIONES UNIDAS (Reuters)2002/3/15

モンテレイ開発資金国際会議公式サイト
Conferencia Internacional sobre la Financiaci溶 para el Desarrollo
http://www.un.org/spanish/conferences/ffd/index.html

サリーナス元大統領、メキシコ政界へ復帰か

カルロス・サリーナス元メキシコ大統領の最近のメキシコ滞在は、長期にわたる自主亡命に終止符を打ち、制度的革命党(PRI)の新しい指導者の指示を受けての突然の政界復帰につながるものになりうる、とアナリストらが発言した。
多くのメキシコ人が「一番の悪党」と呼ぶサリーナス元大統領は、ポピュリスト的な元知事で、今回のPRI党首選で当選したロベルト・マドラソと深い関係を持っている。
メキシコ政治研究所のアナリスト、ボバディージャ氏は、「サリーナスと親密な関係にあるマドラソが今回PRIの党首となったのは、サリーナス元大統領が政界復帰を狙っている兆候ととれる」と述べた。
サリーナス元大統領が1994年に退任した直後、同じくPRIのセディージョ大統領はペソの大幅切り下げを行い、メキシコ経済は最悪の危機に陥った。切り下げはサリーナス元大統領の政策による経済的逼迫によるものとされた。多くのメキシコ人は、サリーナス元大統領が経済危機をもたらした張本人であると考えており、メキシコでもっとも嫌われている人物の一人となっている。
サリーナス氏は自らメキシコを出国してアイルランドに亡命したが、数日前に帰国した。CNNネットワークとのインタビューに答え、メキシコのメディアが一斉に報道したところによると、サリーナス氏はPRIの党首選を擁護し、300万人ものメキシコ人が投票に参加したことは「特筆すべき結果だ」と述べた。
またフォックス政権下のメキシコについては、厳しい追及を受けたセディージョ政権時代と比べ「我が家のようだ」と感じていると述べている。
アナリストのボバディージャ氏は、サリーナス氏の狙いは2003年の選挙でPRIが国会議席の過半数を獲得できるようにマドラソ党首を支援し、2006年の大統領選では再びPRIからの候補が大統領に当選するようにすることだと考えている。
しかし他の専門家たちは、サリーナス氏の主要な狙いは自らの政権のイメージを改善し、1995年以来27年の懲役で投獄されている弟のラウル・サリーナス氏を釈放させることにあると考えている。MEXICO DF (Reuters) (mar 8, 2002)


2002.03.04号

フォックス大統領支持の低下を表す調査結果発表

メキシコ人の大部分が保守派大統領であるフォックスの言葉を信じていない−3月1日に発表されたレフォルマ紙による新たなアンケート調査結果で明らかになったのは、大統領の支持率のさらなる低下だった。調査対象となったメキシコ人のうち53パーセントは、フォックス大統領が国民へのメッセージとして政策について説明するときの言葉をほとんどまたは全く信じていないと答え、1月時点での47パーセントより増えた。支持率のさらなる低下は新税制の承認と電力部門への補助金のカットが一因となっていると考えられる。47パーセントは大統領の施策を支持しているが、42パーセントは支持していないという結果になった。Reuters (mar 1, 2002)

米国、メキシコの麻薬密輸撲滅の取り組みを評価

米国政府はメキシコの麻薬密輸撲滅のための努力を評価し、連邦麻薬取締局が先ほど発表したようにメキシコから米国への麻薬の密輸が増えていることも認めた。米国は反麻薬の闘いに関する「証明」を与えるプロセスを一時的に中止するという約束を守ったが、一定の国々における麻薬撲滅努力の「認知」あるいは「非認知」を行うことはやめていない。現状は証明が「反麻薬闘争への協力」評価に名前を変えただけで、手続き上は何ら変わりがない。従来、この証明がおりなかった国は経済制裁その他の圧力を米国から受けることになっている。証明の中止は今年の9月までとなっている。麻薬撲滅に協力的でない国々として挙げられたのはアフガニスタン、ミャンマー、ハイチで、「意味のある努力をすることに明らかに失敗した」とし、証明免除のリストから外されている。しかし、少なくともハイチに関しては、非常に厳しい貧困状況のためにいっさいの経済制裁は加えられない。 ランディ・ビアー国際麻薬問題担当国務次官は、ブッシュ大統領が麻薬問題に関するメキシコやその他のラテンアメリカ諸国(ハイチを除く)の行動を保証すると述べた。「一連の逮捕や拘留・一掃作戦はメキシコの努力の現れとして大変意義のあるものだ」と述べた。Proceso (feb 26, 2002)