■ 政治ニュース ■

2002.02.18号

ドイツのシュレーダー首相メキシコ訪問

ドイツのシュレーダー首相は、ドイツ人企業家たちと内閣閣僚をともなって二日間メキシコを訪問した。今回の公式訪問の目的は、二国間協力の枠組みを拡大し、投資を促進することにある。ドイツ首相のメキシコ訪問は国営企業民営化の噂の渦中で行われた。この国営企業の中にはメキシコの電力公社や石油公社が含まれ、様々な社会部門から厳しい反対を受ける可能性がある。

フォックス大統領とシュレーダー外相が行った共同記者会見では、民営化の可能性について繰り返し質問が出た。メキシコ大統領は「民営化はあり得ない」の一点張りだった。BBC Mundo (feb 11, 2002)

フォックス大統領とロペス=オブラドール・メキシコ市長が来週月曜に会合

フォックス大統領とロペス=オブラドール・メキシコ市長は、来週月曜日に首都の治安問題について話し合うために会合を持つ。連邦特別区の公安委員長の任命についても話し合われる予定。Notimex (feb 15, 2002)

メキシコの実業家たちが政治的合意を拒絶

メキシコで最も有力な35企業が加盟する実業家協議会は、他の組織と同じく、司法部や政党、労働組合といった、構造改革を推進するために不可欠なアクターたちの合意という条件を備えられないまま連邦政府が提案した「国家開発のための政治的合意」を拒絶した。La Jornada, Ciudad de Mexico (feb 15, 2002)


2002.02.11号

フォックス大統領のキューバ訪問終了

メキシコ-キューバ間の外交関係を緊密にし安定化させるために行われたフォックス大統領の24時間のキューバ訪問が2月4日終了した。両国は今年の5月、国交継続100周年を迎える。両国の国交が途切れたことはない。

フォックス大統領は月曜日に共産主義反対派の人々のグループと会合をもっており、フィデル・カストロ議長はフォックス大統領の空港での見送りに欠席した。フォックスを見送ったのはキューバ外相のフェリーペ・ペレス・ロケだった。

約45分間、反対派はホルヘ・カスタニェダ外相と一対一で対話した。フォックス大統領はその後キューバ島に住むメキシコ人とメキシコ大使館職員との朝食会に出席するために場を外した。

人権及び国家和解のためのキューバ委員会の代表であるエリサルド・サンチェスは、フォックス大統領のキューバ訪問のスケジュールはタイトなものだったが「私たちと会ってくれるとは奇跡的なことだ」と感想を述べた。「フォックス大統領が我々と会合を持ったということは、キューバに民主的変化をもたらそうという我々の平和的な努力が明らかに認められたということだ」と付け足した。フォックス大統領との会合では、大統領は「キューバが将来に目を向けて成功を勝ち取るように」と激励するにとどめ、カスタニェダ外相との会合では、キューバでの人権の状況とメキシコ-キューバ関係について話されたが、拘留中の反対派の解放については話されなかった。El Economista, Ciudad de Mexico (feb 4, 2002)

憲法制定85周年記念式典ムフォックス大統領、「妥協的な移行は受け入れない」と宣言

国家の改革と一年前からの憲法全文見直しがほとんど前進していないことを認めた上で、フォックス大統領は次のように自らの政権の姿勢を表現した。「我々は移行のための協力者を探し求めている。しかし、移行のために妥協することは考えられない。過去の一部分を記憶から消し去ることと引き替えに、政権への支持を得ようとも考えていない」。また、権力の行使の際に「和解の精神」を用いるといっても、それは「無処罰主義と迎合することではない」と警告した。

メキシコ憲法制定85周年式典を主催したフォックス大統領は、ペメックスの汚職疑惑が浮上して以来初めてこの件について言及し、「ペメックスの汚職を打倒しようとする闘いを、その売上を隠そうとする策略であるなどと定義づけるのは、実にばかげている」と強調した。La Jornada, Ciudad de Mexico (feb 6, 2002)

「妥協的な移行は受け入れられない」とのフォックス宣言にロペス・オブラドールメキシコ市長も同調

憲法制定85周年記念式典での演説でフォックス大統領が「妥協的な移行は受け入れない」と述べたことに対し、ロペス・オブラドールメキシコ市長も同意する旨を述べた。しかし、市長は「ただ、移行が実現することだけをひたすら望んでいる。そうでなければ、デマになってしまうからだ。」と述べた。

また、レフォルマ紙に今週水曜日公表されたアンケートによると、タバスコ州出身のメキシコ市長への評価は10点満点中6点以上を維持してはいるが、低下してきている。この3カ月ごとに行われる調査によれば、市民による市長の仕事に対する評価は前回より3ポイント低下している。

2001年2月には61パーセントが市長の仕事を良いと認めたが、同年5月には55パーセントに低下。8月には59パーセントにまで回復、11月には65パーセントになったが、2002年2月では62パーセントとなっている。

10段階評価ではメキシコ市長としての評価は現在6.6点。2001年2月には7.1点だったが、5月には6.3点、8月には6.5点、11月には6.6点となっている。CNI en linea (feb 6, 2002)


2002.02.04号

ホセ・サルカン・ケルメス社会人間開発委員辞任

1月31日木曜日、フォックス政権のホセ・サルカン・ケルメス社会人間開発委員の辞任が認められたが、辞任の理由は明らかにされていない。この国立自治大学(UNAM)前学長の辞任は、31日初めて公式に発表されたが、辞表は1月11日にすでに提出されていた。

大統領は声明を発表し、14ヶ月間にわたるサルカン委員の社会人間開発委員会への献身と努力を讃えた。また、今回の辞任に引き続いて内閣改造が進むという可能性は低いと述べた。CNI en Linea (2002/01/31)

ペメックス汚職疑惑−PRIの反撃、フォックスとエンロンとの結びつきを調査

ペメックス汚職疑惑の渦中にある制度的革命党(PRI)は、メキシコでのエンロンからの援助についての詳細を、米国上院に要求する。PRIによれば、フォックス大統領の選挙運動資金はここからまかなわれたという。PRIにとっては国営石油公社ペメックスの資金がラバスティーダ元大統領候補の選挙運動資金に使われたとの疑惑をかけられたことは「宣戦布告」であり、今回PRI側の戦略を立てたというところか。PRIの上院議員グループは2月1日長い会合を持ち、米国やイギリス、いくつかのラテンアメリカ諸国の選挙活動に使われたとされるエンロンの贈賄疑惑についての詳細情報を、米国上院に求めることを決めた。上院のPRI派顧問であるエンリケ・ジャクソンは、「米国上院は詳しい調査を進めており、両国議会が協力するためのパイプ役となることができる」と述べている。Reforma (2002/02/01)

メキシコ最高裁、1968年のトラテロルコ事件に関する調査開始を検察庁に命じる

メキシコ最高裁は検察庁に対し、1968年10月2日の虐殺事件について、まず事前調査を開始するように命じた。最高裁の第一審では、検察庁が1998年の11月に学生運動の元指導者たちの告発を棚上げした際、あった可能性のある犯罪行為はすでに時効となっているとみなして手続き上の技術的な間違いを犯していたとの判決が全会一致で下された。大臣たちの判断では、検察庁がまず最初に事前調査をまとめねばならず、それが終わって初めて、告発された行為が犯罪行為であるかどうか、またそれが時効を迎えているかどうかについて、完全な独立を保って判断を下すことができる。

告発された元政府役人の中には、故ディアス・オルダス大統領の他に、1968年当時内務大臣だったエチェベリア元大統領も含まれている。

最高裁第一審は学生運動の元指導者らからの告発を受けてから審議にほぼ3年を費やした。検察庁が犯罪行為を時効として処理したときに、原告は検察に調査を義務づけるために法的庇護を求めた。1999年中頃、当時のアギラール最高裁判事がラウル・アルバレス・ガリンとその他の学生運動元指導者からなる原告の勝訴を裁決し、検察は一定の処置なくしていかなる告発も処理してはいけないとの判決を下している。

検察は調査を再び行うことを義務づけられたのみで、正しいと判断されれば再び告発を不起訴処分にすることができる。また、たとえ犯罪行為であったと判断されても、事件が起きた当時の法律が適用されることになる。1968年当時、大量殺人は20年から40年の実刑に問われたので、ちょうど1998年に時効を迎えたことになる。Reforma (2002/01/30)

最高裁が優生学上の妊娠中絶を認める

メキシコ最高裁はいくつかの理由に限って妊娠中絶を認めるいわゆる「ロブレス法」は合憲であるとの判決を下した。具体的には、最高裁が認めた妊娠中絶の合法化は、優生学的な理由、すなわち胎児に先天的な発育障害がある場合に限られる。Proceso (2002/01/29)