■ 経済ニュース ■

2002.02.18号

米国がメキシコの通信市場の閉鎖性をWTOに告訴する方針

米国は2月13日、メキシコの通信市場へのアクセスをめぐって、WTOに立件すると発表した。ロバート・ジーリック米国商務部代表は、米国・メキシコが通信市場の開放性についての対立を二国間で解決できなかったとして、WTOの紛争解決パネルを立ち上げる要請をおこなうと声明のなかで発表した。
「メキシコの国際通信市場は政府主幹のひとつの企業に独占され続けており、メキシコへの通信料金をつり上げ、競争的な他の会社を退けている」と述べた。

メキシコ通信市場は120億ドル規模とされている。米国は2000年11月に一度、パネルの設置を申請したが、メキシコがいくらか市場開放への動きを進めたため、申請を取り下げた。しかし、メキシコ側が反競争的な通信法制を変える動きを見せなかったため、メキシコ国内で営業する米国系電話会社のオペレーターが高いコストを支払わねばならなくなった、と代表は述べる。Reuters (2002/2/13)

メキシコの経済成長率はマイナス0.3パーセント

メキシコ財務省は15日、同国の昨年の国内総生産(GDP)成長率がマイナス0.3パーセントとなり、政府見通しのマイナス0.2%を下回ったと発表した。同国のマイナス成長は、通貨危機を受けた緊縮経済政策でマイナス6%台に落ち込んだ1995年以来。2000年はプラス6.9パーセントだった。同省によると、第4・四半期の成長率は前年同期比マイナス1.6パーセントだった。同国経済は第2・四半期から景気後退局面に入ったとされ、米国の景気後退や同時テロ、世界的な原油価格下落の影響を受けた下半期は、さらに経済が悪化した。 (時事通信)(共同)(毎日新聞)2月16日

メキシコは2001年の世界不況をうまく脱したとアナリスト

メキシコ経済は2001年は不況に陥ったが、過去2年半と違って財政不安定に陥ることなく危機を脱するだろうとアナリストたちが発表した。メキシコ政府は16日、昨年の経済実績の評価を発表することになっている。コルネサ財務計画長官は先週すでに、メキシコの国内総生産がマイナス0.2パーセント成長であったと発表している。また、別の報告によると、工業生産は3.5パーセント低下したとされる。ベクトル証券の分析をまとめたナバレテ氏によると、今回の経済停滞は「一旦停止」であった。「良い点は、この一旦停止が消費に大きく影響することはなかったことだ。これまでとの違いは、高インフレ・高利子率・不良債権の増大・銀行や企業の倒産といった性格を持つ危機には至らなかったことだ。」と述べた。El Economista, Ciudad de Mexico (feb 15, 2002)


2002.02.11号

メキシコの主要な航空会社が債務の再編成を実施

メキシコ最大の航空会社であるアエロメヒコとメヒカーナを管理するシントラ社は、6日水曜日、二社とも債務の再編成のための交渉に成功したと発表した。シントラは組み換えられた債務の総額については具体的には述べなかった。Reuters (feb 6, 2002)

電気料金の値上げは中産階級家庭を中心に

7日に政府によって発表された新しい電気料金体系は、主として中産階級の電力消費に影響を与えると考えられる。特に、夏料金が適用されない今後数ヶ月の影響が大きいと見られる。

新しい電気料金と以前のものを比較すると、メキシコシティとその周辺地域では、260kW/hの場合一月当たり94パーセント、200kW/hの場合一月当たり81パーセントの値上げとなる。

7日の政府公報に発表された合意によると、住宅用電気料金の新しい料金体系は、今まで二つの電力会社を通じて政府が負担してきた補助金を減らす、あるいは抑制することを狙いとしている。政府は先日まで「補助金のカット」は電力を最も消費している階層により大きな影響を与えることになるとしていたが、政府公報に発表されたものとインターネット上に公表されている連邦電力委員会のサイトのこれまでの料金とを比較した試算は、政府の意見と矛盾している。

たとえば、一月に200kW/h消費する家庭の場合(これは冷蔵庫一台、60ワットの電球3個、アイロン、一層式の洗濯機、扇風機一台、21インチのテレビ一台を使用している場合の通常の消費量に相当する)、81パーセントの電気料金値上げとなる。一方、一月に1500kW/h消費する家庭の場合(多数の電球と多数の電化製品を使用した場合)、6パーセント程度の値上げにしかならない。新しい電気料金体系は、「高消費量の家庭用料金」なる概念を採用しているため、以前のものよりさらに複雑になっている。この料金は、気候別に五つに分けられた地域でそれぞれ「高消費量」として設定されている上限を、最後の12カ月間の月平均消費量が越えている利用者に適用される。メキシコシティのある地域の上限は、250kW/hとなっている。Reforma, Ciudad de Mexico (feb 8, 2002)

スタンダード&プアーズの高い外貨建て格付け受けて、メキシコは堅実な経済政策の継続を約束

スタンダード&プアーズから高い外貨建て格付けを受けて、メキシコはそれまでの堅実な経済政策を継続することを宣言した。スタンダード&プアーズはメキシコの格付けを、BB+からBBB-に格上げした。財政政策と通貨政策と税制政策に対する総合的な格上げであったと述べている。

[関連記事]ライコス・ニュースより

S&P:メキシコの信用格付けを投資適格級に引き上げ (ブルームバーグ)2002年2月8日

 メキシコ市 2月7日(ブルームバーグ):米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は7日、メキシコの外貨建て長期信用格付けを「BB+」から「BBB−」と投資適格級に引き上げた。徴税の改善と歳出減少が引き上げの理由としている。  BBB−の格付けはクロアチア、スロバキア、ウルグアイと同水準。6日にはムーディーズ・インベスターズ・サービスがメキシコについて、投資適格級の格付けの下から2番目である「Baa2」に引き上げたばかり
  S&P関係者は、メキシコが輸出の9割を占める米国との経済関係を深め、歳出減や税収増で財政赤字を圧縮していると指摘している。S&Pは同日の声明で、アルゼンチンのデフォルト(債務不履行)や通貨切り下げで一部のエマージングマーケット(新興市場)が投資家から敬遠されるなかで、メキシコには海外からの投資が継続して流れ込んだと指摘した。


2002.02.04号

電気料金値上げは50パーセント−財務省

財務金融省は1月28日、家庭用電気料金の値上げは約50パーセントになると認めた。たとえば、154ペソ分の電気料金の消費は毎月32ペソの値上げとなり、約41.5パーセントの値上げ。これに毎月の繰り越し分を加えると、一年分で8.5パーセントとなり、これはメキシコ中央銀行が発表したインフレ率予測の約2倍となある。財務大臣はこの点を明らかにした上で、中央銀行が電気料金値上げのインフレ率への影響を近日中に確定するだろうと述べた。一方、民間のアナリストらは電力部門に対する25パーセントの補助金カットは財政改革のバランスをとるための処置であるがインフレ率の上昇と企業の競争力低下を招くだけであるとして批判している。La Jornada (2002/01/30)

電気料金の値上げを一週間延期

メキシコ政府は1月30日、家庭用電気料金の値上げ開始を一週間延期することを決定し、これに関する合意については2月7日に公表すると発表した。財務省は声明を発表し、財務省とエネルギー省がフォックス大統領からの延期通告を受けたとしている。財務省は1月28日月曜日、同週の金曜日にあたる2月1日から電気料金の値上げを開始すると通告していたが、値上げされる料金については明確にしていなかった。目的は同部門への政府補助金の支払いを25パーセント削減することだったが、さまざまな生産部門や社会部門からの反発を招いていた。Reforma (2002/01/31)

メキシコの格上げの可能性、市場は織り込んだもよう=ヒル財務相

メキシコのヒル財務相は、有力格付け機関であるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、同国の格付けを引き上げる可能性を、金融市場は既に織り込み済みのもようだ、との見方を示した。あるS&P関係筋は31日にロイター通信に対して、数週間内にも、同国の格付けを変更するかどうかの決定を下す、としていた。同財務相は、格付け変更の観測が市場に織り込まれたかどうかについて、「おそらくそうだろう」と答えた。Reuters (2002/02/01)