■ 政治ニュース ■

2001.12.24号

世界移民デー-国連が移民の人権保護訴え

12月18日火曜日は世界移民デーで、世界各地で様々な行事が執り行われた。国連のアナン事務総長は移民への待遇の改善と移民受け入れ国の貢献に対する認識の向上を訴えた。

米国では、同時多発テロ事件以降移民に対する疑惑が強まっており、移民の人権問題については後退が見られる。フォックス大統領は国境都市ヌエボ・ラレドを訪問し、年末年始を祖国で過ごすために帰国するメキシコ人労働者に挨拶し、彼らに丁寧な態度で接するよう税関職員に求めた。数年前から、メキシコ系移民は税関の警備員や警察側に手続きの遅れや脅迫などの問題を受けていることを訴えていた。400万人のメキシコ系移民が不法に米国で働いているとされ、彼らの人権は全く保護されていない。メキシコ政府は米国政府に対し、彼らに合法的地位を与えるよう求めてきていたが、同時多発テロの影響でこうした要望が受け入れられるかどうかも厳しい状況となっている。BBC Mundo (dic 19, 2001)

移民問題特別検察庁を2002年に設置

国家移民局のプレシアード局長は、2002年初頭に、移民問題をめぐる汚職や処分漏れなどについて取り扱う移民問題特別検察庁を設置すると発表した。局長は移民局の今年一年の活動を振り返ったあとで来年の目標を述べ、取り組むべき最優先課題として移民局内の汚職の撲滅と、移民関連で何かしら違法行為を犯した者をしかるべき方法で罰することとを挙げた。移民問題特別検察がこれに専念することになるとした。特別検察はクレエール内務省長官とマセド・デ・ラ・コンチャ連邦検察長官が近日中に協定に調印して作られることになる。CNI en Linea (2001/12/23), Notimex (dic 23, 2001)

トラテロルコ事件の学生運動指導者暗殺される

1968年、「トラテロルコの虐殺」事件の学生運動指導者、フロレンシオ・ロペス・オスーナ氏が暗殺された。遺体はメキシコシティのホテルで発見されたが、死因については不明。ロペス・オスーナ氏の1968年10月2日当時の写真が2週間前に政治週刊誌プロセソの表紙に掲載されたばかりだった。トラテロルコ事件では学生運動をメキシコ軍が抑圧しようとして多数の死者が出た。ロペス・オスーナ氏はメキシコ市内のムセオ・ホテルに偽名でチェックインしていた。Reforma, Ciudad de Mexico (dic 21, 2001)


2001.12.17号

国会で連邦最高監査官にゴンサレス・デ・アラゴン氏を任命

12月15日土曜日の国会で、16年前から独立で監査役を勤めてきたゴンサレス・デ・アラゴン氏が連邦最高司法官に任命された。PRIとPANが候補者を出さないまま突然の任命となった。PRIとPANが妥協し、任命期限まで9時間を残してのスピード任命となった。連邦最高監査官はすべての国家財政と、行政・司法・立法府によるその運用を監督する役目を持つ。Reforma, Cd. de Mexico,(dic 15, 2001)

フォックス大統領が犯罪を減らすための協力を呼びかけ

フォックス大統領は土曜日恒例の"Fox en Vivo Fox contigo"(「生のフォックス、あなたと共にあるフォックス」)というラジオ番組のなかで、国内の大部分の地域で見られる犯罪を減らしていくためには、連邦政府と州政府、さらにその下の行政単位の政府までが一致団結して安全のためのプログラムを作りだしていく必要があると強調した。全体の協力があってこそ汚職の根絶のための警察同士の協力が可能となると述べた。Notimex (dic 15, 2001)

フォックス大統領、内閣閣僚を前に今年の自己採点

フォックス大統領は12月15日土曜日、55名の内閣閣僚を集めて2001年度の業務について「たくさんの良いことが行われた」と自己評価をした。CNI en linea (dic 15, 2001)


2001.12.10号

フォックス政権、2001-2006年国家社会開発計画を発表、貧困問題への取り組みを明示

12月6日に2001-2006年国家社会開発計画を発表したフォックス大統領は、「現政権は貧困問題を前に腕組みをしているだけではなく実質的な取り組みをしており、国内の最もマージナルな部分にまでさまざまな機会を与えるための政策を推進してきた」と述べた。予算的な制約にもかかわらずここ数ヶ月で、貧困問題に向けられた支出は実質14.6%増加したことを指摘。また、民主国家となったメキシコにはもはや組合国家主義(コーポラティズム)や顧客主義(クリエンテリズム)は存在せず、社会全体が協力して困難な時期を乗り切ってきた、と述べた。貧困撲滅の手段としては、(1)全国民に機会を与え、自助努力によってよりよい生活状況に手が届くようにする、(2)技術訓練を行って個人の選択肢を広げる、(3)生涯通じての生活保障ができるような融資計画を作る、(4)住居や治安、株の保有、貯蓄の可能性といった点から生活基盤を固めていく、(5)脆弱なグループに発言権を与えて平等を実現する、という点を挙げた。Notimex (dic 6, 2001)

汚職撲滅計画を発表

4日火曜日、行政監査・開発省は「2001-2006年汚職撲滅および行政の透明化・発展のための国家計画」を発表した。行政の透明化と市民の参加を促すことを掲げている。行政監査開発省が2000年一年間に処罰した公務員は11500人、苦情と訴えに対応した件数は13000件にのぼり、255000件以上の陳情を受け付けたと発表した。また汚職問題は非常に複雑で長期的に総合的に取り組まねばならない問題であると指摘した。El Universal, Ciudad de Mexico (dic 4, 2001)

税制改革は再び頓挫-承認期日までに下院での合意得られず

11月の段階で議員が税制改革法案の承認期限として指定していた12月5日木曜日までに、下院では法案承認が行われなかった。政権政党、国民行動党と野党の議員の間で合意が得られなかったため。反対している民主革命党と制度的革命党の議員らは、貧困層を直撃するとして、食料品と医薬品に対する15%の付加価値税の賦課に反対し続けている。Reuters (dic 6, 2001)

議会で電話に対する新たな課税を検討ー税制改革問題の打開策として浮上

メキシコ議会は難航している税制改革法案に新たに電話への課税を追加することを検討していると発表した。しかしこの案は既にメキシコ電話会社TELMEXの強い反発を買っている。現在は電話には15%の付加価値税がかかっているが、同案を提示したデラマドリ議員は、新たな電話への課税が何%になるのかについては明言しなかった。Reuters (dic 7, 2001)


2001.12.03号

12月1日、フォックス大統領就任1周年-経済停滞を平常心で受け止めるよう国民に呼びかけ

去る12月1日、大統領就任一周年を迎えたフォックス大統領は、一周年に際しては特別な政治的行事は行わず、グアナファト州に所有する農場で私的な食事会を開いた。メキシコは今年、1995年以来の経済低迷に見まわれ、50万人弱が職を失った。フォックス大統領は毎週行っているラジオ演説のなかで、「メキシコは外部要因により厳しい状況に直面しているが、経済的には強さを示している」と述べた。また、これが経済危機につながるとは考えておらず、したがって国民はこの状況を冷静に受け止めるようにと呼びかけた。 Reuters (dic 1, 2001)

人権問題専門の検事局設立を宣言

フォックス大統領は土曜日恒例の"Fox en Vivo Fox contigo"(「生のフォックス、あなたと共にあるフォックス」)というラジオ番組のなかで、人権問題を専門とする、自治権を持つ検事局を設立することを宣言し、「知識豊かな」民間人を局長として登用し、さらに5人の補佐を付けることを発表した。これにより、人権問題に関する調査を徹底して行い、人権侵害を行った当事者を処罰することを目的としていると述べた。CNI en linea (dic 1, 2001)

アムネスティ・インターナショナル、フォックス政権の一年目を批判

国際的な人権擁護団体であるアムネスティ・インターナショナルはレポートのなかで、フォックス政権は任期一年目において人権問題に関する前向きな発言を数多くしたが、実行には移せていないと批判した。Reforma, Ciudad de Mexico (nov 29, 2001)

メキシコ新空港建設に反対して農民が抗議行動

メキシコシティの新空港の建設で土地接収の対象となっている地域の農民数百人が、山刀と棒で武装して空港建設プロジェクト反対を唱えて抗議デモを行った。サン・サルバドール・デ・アテンコの農民を乗せた30台のバスとトラックを、12人の馬に乗った農民が先導してデモ行進をした。連邦特別区政府が10月に発表した新空港建設計画では、サン・サルバドール・アテンコを含むテスココの地域の土地4500ヘクタールを接収することになっている。政府によるとこの土地は現在農地として使われている場所ではないが、住民は全く反対の事実を主張している。Reuters (nov 28, 2001)