■ 政治ニュース ■

2001.08.20号

メキシコ政府、「先住民文化と権利に関する憲法改正案」を公布

恩恵を受けるはずの先住民を含む複数の組織からの反対にも関わらず、メキシコ政府は「先住民文化と権利に関する憲法改正案」を14日公布した。これにより同法は15日に発効した。(Reuters, Mexico DF, 2001/08/14)

「インディヘナ法」に対する抗議行動始まる

「先住民の権利と文化に関する憲法改正案」が発効した15日水曜日、先住民系組織・市民組織の数百人規模の活動家らが、メキシコ国会前などで「インディヘナ法」に反対する抗議行動を行った。全国先住民会議(CNI)は国会議事堂入り口の地面に喪章を置き、一分間の黙とうを行った。また法案が公布された政府公報を燃やした活動家もいた。(Reuters, Mexico DF, 2001/08/16)

フォックス大統領、チリを公式訪問

フォックス・メキシコ大統領は16日木曜日からチリを公式訪問、リオ・グループの第15回首脳会談に参加した。(Reuters, Santiago de Chile,2001/08/16)

教会不動産も課税対象に、と最高裁

メキシコ最高裁の総会は、1992年の憲法改正以降に宗教法人によって取得された不動産もすべて課税対象となることを全会一致で可決した。これにより、2001年1月20日から12月31日までの間に宗教法人によって取得された不動産の固定資産税と名義変更税を免除するとしたチワワ州の条例を憲法違反により無効であるとした。(CNI en Linea, 2001/8/14)


2001.08.13号

インディヘナ法改正案作成に国連の介入を依頼

人権擁護団体「すべての人々にすべての権利を」をはじめとする複数の民間組織が10日、国連と国際労働機関(ILO)に対し、フォックス大統領に「インディヘナ法」改正勧告を送るよう申し入れた。国連で先住民族のための特別報告委員を務めるスタベンハーゲン氏(農業経済社会学者)およびILOの専門家委員会に依頼状を送った。(CNI en Linea, 2001/08/10)

人民革命武装軍(FARP)が犯行声明、シティグループーバナッシ合併とインディヘナ法承認に反対してバナメックス支店に対してテロ行為

人民革命武装軍(FARP)は9日、8つの項目の犯行声明を発表し、メキシコシティにおける連続テロを正当化、バナメックスの買収は単なる株式の取引ではなく、メキシコ人に対する卑劣な犯罪行為であり、メキシコ人の品格と尊厳に対する侮辱行為であると批判した。他の項目の中ではインディヘナの権利をめぐる憲法改正案(「インディヘナ法」)および税制改革法案は違憲行為であるとしている。(CNI en Linea, 22001/08/09)

米墨間で不法就労者をめぐる交渉を開始

米国とメキシコは9日、移民問題について合意するための交渉を開始した。パウエル国務長官によれば、この交渉には不法移民を終結させることを目的とした出稼ぎ労働者のためのプログラムも含まれることになる。(Reuters, Washington DC, 2001/08/09)

税制改革に全く出口見えずー決着は年末までずれ込むだろうと財務省

メキシコ政府は、議論を巻き起こしている税制改革に対する国会での投票が、当初の予定通り9月に行われる可能性があると認めた。投資家たちとの英語による電話インタビューのなかで、メキシコ財務省のアンドレス・コネサ財務計画担当長官は、税制改革案に対する投票は9月1日の時期通常国会開会前に行われる可能性が強いものの、議論は継続されるであろうし、最終的な承認は今年の第4四半期にまですれこむ可能性があると述べた。

同案は今年4月にフォックス大統領によって議会にかけられたが、一部の議員による拒絶のために事実上凍結した状態。(El Universal, Cd. de Mexico, 20001/08/07)


2001.08.06号

連邦特別区在住の先住民が連邦政府に対し「インディヘナ法」公布中止を訴える

社会学者エクトル・ディアス氏と文化人類学者アルマンド・バルトラ氏が率いるメキシコシティ在住の他州出身の先住民の一団が連邦政府に対し、インディヘナの文化と権利に関する憲法改正法を公布しないよう求めた。一方、連邦特別区の「インディヘナの協議と参画に関する審議会」は記者会見で、同法案の合憲性については最高裁の判断を待つとしている。(Notimex, Cd. de Mexico, 2001/08/03)

フォックス大統領は「インディヘナ法」に調印する意向

フォックス大統領はイギリス訪問中にブレア首相とともに行った記者会見の中で、「インディヘナ法」はメキシコ憲法に則った手続きを経て承認されたとし、議会が承認した内容のままで調印する意向を示した。当初は、合意を得るために行政府は同法案を見直す用意があるとし、和平調停委員会(COCOPA)も法案改正案を提示するとしていた。

フォックス大統領は、メキシコ政府は今後もサパティスタとの対話を模索しインディヘナ共同体への配慮を続けていく所存であり、農村への信用供与や零細企業支援プログラム、国内の最貧地域のためのインフラ事業を実施すると述べた。(BBC Mundo, 2001/08/03)

フォックス人気は健在、7月の世論調査より

メキシコ企業であるベルーメン・イ・アソシアドスが7月に行った世論調査の結果、フォックス大統領の施策については国民から10点満点中3tがつけられ、大統領選1年をすぎてもフォックス大統領と国民とのハネムーンが続いていることを示す結果となった。

今回の調査は800サンプルを対象に電話による調査が行われたこれまでのものとは異なる方法が採られ、7月21日から25日にかけて全国の1500家庭(有効サンプル数は1481家庭)を対象に訪問調査を行った。また今回の調査では元報道官の大統領夫人や連邦特別区知事、上院議員、内務省大臣といった政治的人物の認知度も測られた。

調査が実施された地域のうち4分の1は農村地域で、平均年齢は30歳、男女比は50%ずつ。このうち政権政党である国民行動党支持派であると述べたのは32%、前政権の制度的革命党支持派は19%、民主革命党支持は8%、5%がその他の政党支持、残る35%はいかなる政党も支持していないと答えた。フォックス大統領個人については64%が「非常に好ましい」と答え、23%が「非常に好ましくない」、さらに23%がフォックス大統領の行動を批判した。(El Economista, Cd. de Mexico, 2001/08/02)

メキシコは米国のトラックの入国を禁止するだろうとフォックス大統領が警告

フォックス大統領はイギリスのブレア首相とともに行った記者会見の中で、米国がメキシコのトラックの入国を禁止する方針を変えなければ、メキシコ側も米国のトラックの入国を禁止するであろうと述べた。(CNI en Linea, 2001/08/02)

服役中のサパティスタがハンガーストライキを中止

チアパス州セロウエコ刑務所で服役中のサパティスタ3名が、政府が要求に応じなかったとして7月30日から行っていたハンストを中止した。服役者組織「セロウエコの声」の外部スポークスマンによると、サパティスタの抗議に同調した農民70名も衰弱を理由にストライキを中止したが、近日再開する可能性もあるとしている。(CNI en Linea, 2001/08/02)