■ 政治ニュース ■

2001.07.30号

食料と薬への付加価値税課税反対が大多数

州議会・農業組合・労働組合・経営者組合・薬局代表者・セルフサービス店舗・部門別店舗などを対象に下院の税制調査会が6月に行った調査で、90%以上が食料品と薬に付加価値税を課すことに反対であることが分かった。調査に参加した53の対象のうち、食料品と薬に対する付加価値税課税に賛成だったのはわずか5つで、賛成理由は免除品をなくすことにより脱税を減らすことができ、これによって政府収入は格段に増えるというものだった。

しかし一方で、全国薬局連合は薬に対する課税は段階的に導入されなくてはならず、この部門の流通マージンの見直しのメカニズムを通じて行われなくてはならないとした。(El Economista, Cd. de Mexico, 2001/07/23)

これ以上の公共支出削減はしない、とフォックス大統領

火曜日の地元紙に、政府支出をより緊縮する旨を大統領が内閣に要請したとの記事が掲載されたのを受けて、これを不況のため予算削減を余儀なくされているものと勘違いしたメディアが出てきたのに対し、フォックス大統領は木曜日に、連邦予算を新たに削減する計画はなく余分な支出を削って「貯金する」方法を模索している、と述べた。メキシコ政府は5月のはじめに約34億ペソ(3億6600万ドル)の支出削減を発表している。(Reuters, Mexico, D.F., 2001/07/26)

全国先住民庁(INI)「インディヘナ法」改訂を国会に要請

マルコス・マティアス・アロンソ全国先住民庁(INI)長官はメキシコ国会に対し、「インディヘナの権利と文化に関する法案」が行政府によって公布される前に緊急に改正するように求めた。「権利の保証という面で進歩があるとは言え、自治権の分野で不十分である」と指摘した。

また、先住民は依然として同法案が見直されることを期待しているが、改正への道筋は限られていて、大統領による拒否権の行使または憲法論争しかない、とも述べた。アロンソ長官によればインディヘナ法には社会面と政治面での不均衡が見られ、特に政治面に弱点がある。一方では、道路や下水道、学校、健康、奨学金、女性、日雇い労働者といった論点が含まれるB条項などは評価しており、インディヘナ発展の重要な出発点となるだろうと認めた。(CNI en Linea, 2001/07/25)

閣僚レベルの審査グループ、メキシコ人違法移民の一部の地位合法化を提案

ホワイトハウスによると、300万人にのぼると言われる不法滞在のメキシコ人に対し、出稼ぎ労働者プログラムを通じて永住権を与えることを検討するよう、閣僚レベルの審査グループが米国政府に対して求めた。今回の提案は先週のものと比べてかなり限定された内容で、メキシコ系住民の一部に対して一時的に永住権付与プログラムを実施しようというもの。ブッシュ政権は今年はじめからフォックス大統領と協力し、メキシコから米国への不法移民をいかに減らし、国境地帯の安全保障を高めるかについての議論を重ねている。先週出ていたメキシコ系住民全員に対する永住権付与案はホワイトハウスによって却下され、出稼ぎ労働者のための一時プログラムの方により関心を寄せていると発表している。(Reuters, Mexico, D.F., 2001/07/24)


2001.07.23号

メキシコ政府情報部、過去の政権での政治スパイ行為の事実を認めるー盗聴はフォックス大統領にまで及んでいた可能性、と情報部顧問

エドゥアルド・メディナ・モラ国家治安調査センター(CISEN)所長は、過去の政権が「政治スパイ行為を行っており、政治的目的のもと違法な手段を用いて個人のプライバシーを侵害してきた」事実を認めた。1月8日から4月2日までの厳正な評価の結果、現政権が発足してから200日の間に、主に個人の電話通話に関して情報破壊行為があったとの証拠が見つかった。(Notimex, Cd. de Mexico, 2001/07/19)

7月初頭に摘発された電話盗聴組織は1994年から政治家や官僚の会話を盗聴するスパイ行為を働いてきたとされる。この組織は少なくとも35名から成り、本拠地をメキシコシティに置きつつも、情報の収集と分析は制度的革命党PRI党員が知事を務めるメキシコ州で行われていた。この組織によるスパイ行為は、主要3政権-国民行動党(PAN)、PRI、民主革命党(PRD)に影響を及ぼした。メキシコでは、国家の治安が危険にさらされたときのみ、内務省が管轄する国家情報局CISENのみがスパイ行為を行うことが許されている。(Reuters, Mexico D.F., 2001/07/16)

メキシコ国会で「インディヘナ法」承認手続きを完了

メキシコ国会は18日水曜日、インディヘナの権利と文化に関する憲法改正法案が有効となった旨を宣言した。賛成26票、反対6票、棄権2票で、国会議員は「インディヘナの権利と文化に関する法案」に関する最終的な法的手続きを終え、行政府が政府公報として公開するのを待つばかりとなった。同法案は依然として4州議会で承認・非承認を問う投票が行われていない。(CNI en Linea, 2001/07/18)

フォックス大統領、米国に不法滞在中のメキシコ人の恩赦には触れず

フォックス大統領は15日の日曜日、米国に住むメキシコ系移民の生活改善を約束したものの、多くのメキシコ人が合法な永住権を得るために求めている恩赦に言及するのを避けた。アイダホ州から開始した第3回米国訪問の二日目に当たる16日、フォックス大統領は5000人のメキシコ系移民・労働者とピルセン地区の公園で集会を開いた。ピルセンはシカゴの工業都市にメキシコ人が移民してきた最初の都市の一つ。集会では「恩赦を!」と書いたプラカードや、恩赦を求める訴えかけもあったが、フォックスはこれには直接答えず、「すべてのメキシコ系移民の合法性を認めさせる必要がある」と述べるにとどめた。(Reuters, Chicago, 2001/07/17)

「2006年の大統領選では在外メキシコ人の投票を可能にする」とフォックス大統領

16日シカゴでの米国商工会議所加盟者たちとの朝食会の終わりに行われたインタビューで、フォックス大統領は「国外に住むメキシコ人が2006年の大統領選に投票できるようにすることを約束する」と述べた。また、在外投票は大統領選に限ってのことで、その他の選挙についてはこの約束に含まれていないとした。フォックス大統領によれば、メキシコ国内ですら技術的な問題から市民による投票が思うように実施できないことがあるので、大統領選投票だけに的を絞って選挙法改正を進めた方が現実味がある。(Reforma, Cd. de Mexico, 2001/07/16)


2001.07.16号

「インディヘナ法」批准される-17州で承認、9州で非承認

ミチョアカンとナヤリットの二州での承認を受けて、「インディヘナの文化と権利に関する憲法改定法」(「インディヘナ法」)が12日批准された。同法案を承認したのは反対9州に対し17州にのぼった。ミチョアカン州は30時間に及ぶ協議の末、賛成18票で承認。ナヤリットは8時間の協議ののちに、PRIとPANの賛成20票がPRD・社会革命党・労働党の反対8票を上回って批准された。(El Economista, Cd. de Mexico, 2001/07/13)

フォックス大統領三度目の米国訪問を開始、ビル・ゲイツとも対談

フォックス大統領は7月13日から17日までの予定で三度目の米国訪問を行っている。今回の訪問では、いくつかの州の投資能力の大きい企業家たちとの面談、および米国在住のメキシコ人との面談が予定されている。また、マイクロソフト社のビル・ゲイツとの面談も土曜日に予定されている。今回の米国訪問は、州知事や議員、企業家たちとの面談に加え、特にメキシコ系の人々が多く住んでいるシカゴ州の五大湖周辺の都市を訪れて、現地のメキシコ人コミュニティに歩み寄ろうとする目的もある。(El Economista, Ciudad de Mexico, 2001/07/13)

メキシコ非常任理事国入り、欧州連合全体での支持はない

欧州連合は今年、メキシコと高度な政治的連携を約束する合意をしているが、加盟国全体でメキシコの非常任理事国入りを支持することはしない。スペインは既にドミニカ共和国の非常任理事国入りに一票を投じる約束をしており、他の加盟国はまだどちらの国を支持するかは決定していない。さしあたってメキシコはベルギーとフランスの支持をとりつける努力をする予定。(Reforma, ブリュッセル, 2001/07/09)


2001.07.09号

フォックス大統領、チアパスで「国家保健計画2001-2006」を発表

「国家開発計画」発表から1ヶ月後、フォックス大統領は一つ目の部門別計画となる「国家保健計画」を発表した。同計画によれば、4つの目標を実現することにより、所得などに関わりなく全人口が医療サービスにアクセスできるような条件を整える。その目標の第1は最も貧しい層を最優先として健康状態の改善を図ること、第2はサービスの質の改善、第3は民間の医療機関にかかる割合を減らすこと、第4は国の医療制度を強化することであるとした。フォックス大統領は、現政権の優先事項はすべての家族がまともな生活を送り十分に発展できる機会を持てるようにすることであり、そのためにも健康であることの重要性を説いた。(El Economista Online, Cd. de Mexico, 2001/07/06)

メキシコ州も「インディヘナ法」非承認

5日、地元の先住民の自治を保証するものではないという理由からメキシコ州議会も「インディヘナ法」を非承認とし、今日までに全部で9州が同法案を拒否した。4時間以上にわたる折衝の末、13議員が反対票、4議員が賛成票を投じたが、この4議員はいずれも政権政党PAN(国民行動党)所属。(CNI en Linea, Cd. de Mexico, 2001/07/05)

全国商業・サービス・観光業会議所連合 (Concanaco-Servytur) と行政監査開発省 (Secodam)が汚職撲滅のための協定締結

全国商業・サービス・観光業会議所連合 (Concanaco-Servytur)は、メキシコ国内での汚職撲滅と政府行動の完全な透明化を実現するという目的のもと、行政監査開発省 (Secodam)と協力協定を結ぶ。連合の会長であるゴンサレス・クルス氏は、社会がこの悪習の撲滅に対する責任の一端を負っていることや、社会が国家に対して行っている苦情申し立てが過剰な規制や政府手続きの不透明性に集中していることを考えれば、今回の合意は当然の帰結であると述べた。(Notimex, Cd. de Mexico, 2001/07/05)

メキシコの汚職は国内総生産の20%に相当するコストを生んでいる、とAdemex(メキシコ消費者保護調査協会)

Ademex(メキシコ消費者保護調査協会)は、メキシコの汚職は消費者に対し、国内総生産の20%に相当する1200億ドルもの損害を与えている、との試算を発表した。ガソリンの販売サービスや電気料金の徴収、電話関連のさまざまなサービスや家庭用ガスの料金の徴収などの際に行われる不正により、まとめると317億ドルもの金額が消費者から奪われている、と推定。また衣料やビデオ、音楽、コンピュータ関連製品における海賊行為は50億ドル、年間5万台にのぼる自動車の窃盗とインフォーマル経済の拡大は4000億ドル以上の脱税行為となっている、とした。(El Universal, Cd. de Mexico, 2001/07/02)


2001.07.02号

メキシコの著名人のグループ、各州にインディヘナ法拒否を要請

チアパス州内の報道機関と10州の州議会に配布された文書のなかで、メキシコ国内の著名な知識人・芸術家・政治活動家・サパティスタ共鳴者らが、インディヘナ法は「メキシコの平和に対する脅威」であるとし、各州議会に対しては同法案を承認しないようにと呼びかけた。同文書は最も先住民人口が多いサン・ルイス・ポトシ、イダルゴ、ゲレーロ、チアパスの議会でインディヘナ法案が拒否された翌日に発表された。同法案は4月末に上下院では批准されたが、法律として発効するには全国32州のうち最低でも過半数の州議会での承認が必要となる。現在までに12州議会で承認、チアパス州を含む8州議会で拒否されている。(Reuters, San Cristobal de las Casas, 2001/06/29)

チアパス、「インディヘナ法」非承認

チアパス州議会は28日、「インディヘナ法」を非承認とした。オアハカ州、シナロア州、サカテカスについで4州目の拒否となる。(Notimex, Tuxtla Gutierrez, 2001/06/28)

メキシコとキューバ、人権監視メカニズムで合意

キューバとメキシコの国会議員は28日、第4回メキシコ=キューバ議会間会合において、両国内での人権状況を国家主権の侵害にあたらない範囲で相互に監視しあうメカニズムを構築する委員会の設立について合意し、共同声明として発表した。会合でメキシコとキューバの議員がお互いの国の人権に関する懸念を表明しあった結果、「国家主権への侵害だ」と議論が加熱したが、最後には米国のキューバに対する経済制裁に反対する項目を含む合意に達した。(Notimex, Veracruz, 2001/06/28)

メキシコ連邦特別区政府「民主主義の日」を設立

1997年7月6日に初めて選挙によってメキシコシティ市長(野党PRD=民主革命党のカルデナス市長・当時)が選ばれたのを記念して、メキシコ連邦特別区政府はこの日を「民主主義の日」とし、記念式典を行う。一連の記念行事は7月6日から8日にかけて行われ、政府による公式演説やパナマ人歌手ルベン・ブラデスの野外コンサートが行われる。現職のロペス・オブラドール市長は記者会見で、「これは長年の市民の戦いの成果であり、この日を祝福しなければならない」と述べた。

1920年代以来、メキシコシティは大統領が直接指名する知事によって統治されていたため、連邦政府の一従属機関のようなものであった。1997年に初めて選挙が行われ、市民の過半数に選出された左派のクアウテモック・カルデナスが初代市長を1999年9月まで務めた。カルデナスはその後大統領選に専念するため、ロサリオ・ロブレスに市長の座を譲った。2000年の選挙では再びPRDが勝利し、ロペス・オブラドール市長が当選、初めて6年の任期を全うする。これらの選挙では、連邦特別区の16の地区の区長も初めて選挙で選ばれた。

記念行事の初日に当たる7月6日には、公式演説と、歴史地区にあるビスカイナ劇場における民主主義の戦いに関するビデオ上映が行われる。7日にはメキシコ市博物館で、著名知識人を招いて民主主義に関するパネルディスカッション、8日はルベン・ブラデスにょる野外コンサートが行われる。(Reuters, Cd. de Mexico, 2001/06/28)