■ 経済ニュース ■

2001.07.30号

メキシコの貨物自動車に対する米国の過剰検査を批判 シカゴトリビューン紙

シカゴトリビューン紙は27日金曜日の朝刊の社説で、米国上院がメキシコの貨物自動車にたいする過剰な検査を要求したのは過ちであり、ブッシュ大統領は法案に対する大統領拒否権を行使すべきである、と論じた。「これが政治的愚行だと思うなら警笛をならそう」と題された社説は、上院が木曜日にとった立場は、北米自由貿易協定(NAFTA)で認められた原則に違反するものであるとして批判。「貿易を自由化したところで、同時に財の輸送手段を制限したのでは意味がない」と述べた。

上院は26日木曜日、賛成70票反対30票で、米国内に入るメキシコの貨物車両の厳しい検査を義務づける法案を可決した。共和党議員はこれより緩い、カリフォルニア州の現行に基づく条項を提案していたが、これを覆すものだった。シカゴトリビューン紙は同法案を推進しているパティ・マレイ民主党上院議員と運送業者組合を批判した。(CNI en Linea, 2001/007/27)

インフレ率、今年は5.0%〜5.5%に抑制されるだろうとフォックス大統領

フォックス大統領はメキシコシティ南部での住宅の引き渡しの式典のあとで、今年のインフレ率は5.0%〜5.5%にまで抑えられるだろうと述べた。物価上昇の速度は40%減速しているとした。6月末にメキシコ中央銀行が31人の民間のアナリストを対象に行ったアンケート調査では、今年の予想インフレ率は6.23%とされた。また中央銀行の今年のインフレ率目標は6.5%。(El Universal, Cd. de Vaticano, 2001/07/26)

シートベルト、エアバッグ、チャイルドシートの専門メーカー「タカタ」、メキシコでエアバッグ生産開始へ

シートベルト・エアバッグ・チャイルドシートの専門メーカーであるタカタは、700万ドルの投資とともに、メキシコのアメリカ国境の町で操業を開始した。メキシコでの新会社はエアバッグの生産に特化する。米国経済の減速の影響で、1月に予定されていた操業開始が延期され続けていたが、ようやく操業開始にこぎつけた。2001年の末までに300人の従業員を雇い、2004年には1200人規模の会社にする計画。また生産品に関しては50%はメキシコ国内向け、残りは輸出用となっている。(El Universal, Coahuila, 2001/07/27)

トヨタが2002年の第2四半期からメキシコで4輪車販売

トヨタ自動車は来年の第2四半期からメキシコでの4輪車販売を開始する。車種は今年末に決定するが、初年度で3000〜5000台を販売する。メキシコでは日産自動車が66年に4輪車組み立て工場を建設、昨年は20%のシェアを確保しているが、トヨタは生産販売の拠点がなかった。(毎日新聞 7月17日)


2001.07.23号

2001年上半期失業率が上昇

今年上半期の完全失業率は経済活動人口の2.41%にのぼり、去年の同時期と比べて0.15%上昇した(国立統計情報地理局発表)。性別では男女ともに2.4%だった。6月一月をとっても、去年の同月より失業者が増えている。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001/07/19)

メキシコ銀行連合(ABM)、新しい銀行間取引利率を発表

メキシコ銀行連合は17日、銀行間融資に使ったり6か月・9か月・12か月期の貨幣コストを計算したりするための新しい利率を公式に発表した。この利率はMexiborと呼ばれ、ロイター社が国内・国際金融市場に知らされる。新金利は、透明で安全で信頼のおける利子率決定メカニズムを実現するためのものである。利率は当初90日分からスタートするが、今後より長い期間の同類の利率を設定する予定で、一年以上の期間のものも考えられている。新しい金利は信託投資を通じて参加している12銀行が出す相場を元に毎日調整され、金利計算の透明性・信頼性・継続性を確保することを目的とする。(Reuters, Mexico, D.F., 2001/07/17)

米国連邦準備局、シティグループによるバナッシ買収を承認

シティグループによるバナッシの買収は16日、米国連邦準備局の承認という重要な段階をクリアした。これにより、125億ドル規模の取引が今年8月から10月の間に実現する運びとなった。(El Economista, Cd. de Mexico, 2001/07/17)

ベラクルスのサトウキビ生産業者、サトウキビの収穫への支払いを求めての全国的規模でのデモを月曜日に行うと予告

ベラクルスの1万5千人のサトウキビ生産業者が、全国で45億ペソにのぼる収穫への支払いを求めて、来週の月曜日にデモ行進をする旨を発表した。メキシコでは3370万トンのさとうきびを消費しており、サトウキビ生産者は480万トンを生産しているので、支払にあてられる資金は十分にあるはずだ、と主張している。(El Universal, Veracruz, 2001/07/18)

フォックスとビル・ゲイツ、メキシコ政府の「電子化」へのマイクロソフト社の技術協力で合意

フォックス大統領はマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏と会談を行い、メキシコで新技術の使用を推進し、より多くの人びとが新技術へのアクセスを確保できるようにすることで合意した。マイクロソフト社がメキシコ政府と協力して、連邦行政機関が提供するサービスと情報のすべてをインターネットに集中させるポータルサイトを構築する。このポータルサイトはフォックス大統領のE-メキシコ計画のごく一部分にすぎないが、「電子政府」と名付けられたコンセプトのもと国民がオンラインで政府のサービスにアクセスできるようにするためのもの。マイクロソフトがこのプロジェクトの顧問を務め、あらゆる手続きがインターネットを通じて行えるようにサービスの提供をインターネット上に移動させるための技術の提供を行う。(El Economista, Cd. de Mexico, 2001/07/16)


2001.07.16号

「アルゼンチンの経済危機はメキシコペソに一時的な影響を及ぼすにとどまるだろう」JPモルガンが予測

アルゼンチンの支払い能力をめぐる問題でラテンアメリカの為替市場が動揺したのを受けて、メキシコペソは火曜日から木曜日の間に2.9%下落したが、これは一時的な影響にとどまるだろうとJPモルガンのアナリストが述べた。実際に、金曜日にはペソはやや回復した。また、アルゼンチンが債務不履行(デフォルト)に陥ったり、アルゼンチンペソの切り下げが行われるような事態となれば、メキシコペソも約50センタボ下落すると予測されるが、1999年にブラジル通貨であるレアルが切り下げられたときと同じように、その後素早く回復するだろうと述べた。(Reuters, Cd. de Mexico, 2001/07/13)

バナメックス、シティバンクとの合併後1000人規模の解雇を予定

バナメックスはシティバンクとの合併第一段階において、最低でも1000人規模での解雇をおこなう予定で、これにより1994年の通貨危機以降銀行の倒産や合併などで実施された解雇は6000人にのぼることになる。銀行雇用者代表のエンリケ・アギラール・ボレーゴ氏によれば、バナメックスの解雇は主に会社・経営部門が対象となる見込みで、主に連邦特別区の職員が第一の対象となる。「バナッシ計画」と名付けられた報告書の中で、「シティグループは、買い付け後にバナッシとシティバンクの経営をよりよい方法で組織・統合していくために、どのような変革を実施していかなければならないかを決定する目的で、バナッシの株式・会社構造・資本・規約・操業・理念・資産・経営・人員の各方面での見直しをする段階に入っている」とされている。(La Jornada, Ciudad de Mexico, 2001/07/13)

「貧富の格差が拡大」とINEGIが調査結果を発表

国立統計地理研究所(INEGI)は、メキシコの最富裕層10%に国民所得の38.7%が集中し、最も貧しい層60%には全所得の25.1%しか分配されていないという所得調査結果を発表し、最貧層が受け取っている割合は1988年より0.4%減少している結果となった。(CNI en Linea, Cd. de Mexico, 2001/07/10)


2001.07.09号

シティコープ、バナッシ株の公開買付けを開始

シティグループの子会社であるシティコープは、125億ドル(一株あたり2.6544ドル)での通常株の公開買い付けを開始した。この公開買い付けでは同時に、バナッシの各株主に対しシティグループの0.0269株を1.3272ドルで売却する(一株あたりに換算すると49.26ドル)。結果、買い付け終了までに引き渡されるバナッシの通常株一株あたりの価格は1.3272ドルとシティグループの0.0269株となる。新聞発表によるとバナッシ側は、今回の買い付けは公正なものであり、バナッシ株主の利益が最大限保証されるかたちのものであることを全会一致で決定した、とされる。また株主に対しては買い付けを受け入れ株を売却するようにと勧告した。買い付け期限は現地時間で2001年8月2日までであるが、延長される可能性もある。(El Universal, Cd. de Mexico, 2001/07/06)

「不況の悪影響は既に底打ちした」とソホ顧問

国家経済強化プログラムのための労働委員会の初会合後の記者会見でエドゥアルド・ソホ公共政策顧問は、経済停滞による悪影響はすでに底打ちしており、2001年下半期からは経済成長率が上昇するだろうと述べた。顧問によれば、規制緩和・インフラストラクチャー・住宅問題・金融といった分野における進歩について今回の会合で見直しが行われた。(Notimex, Cd. de Mexico, 2001/07/05)

連邦公正取引委員会、シティグループとバナッシの合併を認可

メキシコ連邦公正取引委員会は新聞発表の中で、シティグループ-バナッシの合併を認可するが、一年以内に合併を完了するという条件付きであることを示した。また、この取引によって損害を被ると考えられる市場における競争を保護促進するために公正取引委員会が準備する方策に従って行われなければならないとした。また特に、年金基金を管理しているガランテ社と、アフォーレ・バナメックス・アエゴン社も合併しなければならないとし、両社はE-Global社の社会資本への参加を撤退し、BBVAバンコメルやクレディト・ファミリアル社などとのこれまでのつながりを清算しなくてはならない。

新聞発表の中ではさらに、これまでの国内株式市場における取引の結果から、シティグループとバナッシの合併は公正取引に危険を及ぼすものではないとの判断を下した。公正取引委員会によると、影響を受けると考えられる部門は、年金基金管理・ATM・消費者金融。(El Norte, Monterrey, 2001/07/04)

メリルリンチ「メキシコ経済は第2・第3四半期には底打ちとなるだろう」

メリルリンチはレポートの中で、米国経済の減速の影響でメキシコ経済はこの5年間で最も弱体化しているが、それも今年の第2・第3四半期で底打ちとなり、回復に向かうだろうと述べた。メキシコは第1四半期には1.9%の国内総生産成長率だったが、第2四半期に関しては複数のアナリストが去年の同時期と比べ1.0%成長となるだろうとしている。4月ー6月期の国内総生産の公式発表はは8月15日。(Reuters, Cd. de Mexico, 2001/07/03)


2001.07.02号

米墨間で北米スーパーハイウェイ設立を検討

北米地域の経済発展を促進するための北米スーパーハイウェイ設立構想(Canamex構想)は貿易・観光・通信の分野でメキシコシティから米国を経由しカナダのエドモントンまでを結ぶための回廊を造ろうというもので、28日始まったアリゾナ-メキシコ委員会年次会合での主な論点となる。今回の会合のオーガナイザーによると、アリゾナ州(米国)-ソノーラ州(メキシコ)間を結ぶ片側4車線のスーパーハイウェイ建設が検討されている。この道路により、上記2州がCanamexへアクセスする入り口となる。(El Economista Online, Phoenix, US, 2001/06/28)

メキシコ、トラック問題で米国に対して報復措置をとると警告

メキシコのルイス・エルネスト・デルベス経済相は、米国でメキシコのトラックによる米国幹線道路使用を制限する内容の法案が批准されれば、メキシコ側は貿易面で報復措置をとるだろう、と伝えた。米国下院はメキシコの大型車両が米国内を走る場合、一定の安全基準を満たしていなければならないとする内容の法案を承認しているが、この安全基準についての詳しい内容はまだ明らかにされていない。

野党民主党が推進している同法案が上院でも承認されれば法として効力を持つことになるが、ブッシュ大統領はメキシコのトラックに対して国境を開放するというホワイトハウスの意向を妨げるものとして、この法案を覆す構え。法案は北米自由貿易協定違反となり、メキシコには報復措置をとる権利が発生する。報復措置の一例としては、米国からの果糖の輸入禁止などを挙げている。

皮肉なことに、メキシコの大型貨物車両業者たちは同法案の下院での承認を喜んでいる。メキシコ貨物車両連合(Canacar)のマヌエル・ゴメス代表は政府に対し、国境の開放に関しては互恵的でなければならないと主張しているため、今回の法案承認はこの主張を裏打ちするものになると受け止めている。代表によれば、メキシコのトラック業者はほとんどが零細企業であるため競争力が弱く、国境の開放によって米国が得る利得の方がメキシコが受けると考えられる利得より大きい。(El Economista, Cd. de Mexico, 2001/06/28)

「メキシコに『失われた十年』は二度と訪れない」とフォックス大統領

フォックス大統領は、全国商工会議所連合(Concanaco)が組織した商業・サービス・観光部門企業家全国会合に出席し、いわゆる第三次産業は近年確かに成長を続けていることを認めた。またConcanacoと協力し、第三次産業の大半を占める零細・小規模・中規模企業の支援を通じて流通システムの近代化・効率化をはかり、メキシコを観光大国にするために観光部門にも力を入れる旨を伝えた。Concanacoは4年前から行政府との会合を拒否してきていた。

Concanaco側のゴンサレス・クルス代表は、第三次産業が国内総生産の42%を占め、総雇用の50%を創出していることを強調。税制改革、プエブラ=パナマ計画、また特に零細企業融資計画に対しては、全国280以上の商工会議所を通じて商業部門が協力する旨を申し出た。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001/06/27)

スペインの銀行はメキシコ経済を強く信頼

ともにメキシコに進出しているビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)とサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(BSCH)は、国際的拡大への鍵となる国としてメキシコの経済への信頼を強めてきている。2銀行は近年53億ドル余りをメキシコに投資しており、この中にはメキシコの銀行との合併に使われたものも含まれる。

メキシコにおけるスペインの銀行の株保有率は、墨西が二国間貿易関係を強化した1994年以来のスペイン企業の総投資額の9.42%を占めている。

BBVAはメキシコ国営通信Notimexに対し、2001年の目標はバンコメル銀行との合併の確立であると伝えた。BBVAはメキシコの総貯蓄の28%を保有し、国内に約600の支店を持ち、年金基金経営でも280万人の加入者と640億ドルの株式を抱えて国内第一位の位置を占めている。短期的な計画としては7-9月の間にBBVA-Bancomer合併を確立することを挙げている。

一方のBSCHは今年メキシコのセルフィン銀行との合併を完成させ、サンタンデール=セルフィン金融グループ確立を目指す。(El Economista, Madrid, 2001/06/25)