■経済ニュース■

2001.06.25号

松下電器、メキシコに新しい家電工場

日本で最大の松下電気工業はメキシコのヌエボ・レオン州に新しい家電工場を設立したと発表した。同社広報部によれば、メキシコの安い労働コストを利用することにより、世界最大のメーカー、スウェーデンのエレクトロラックスに対する競争力を強化することが狙い。資本金1億5千万ドルのこの新会社は松下がメキシコに持つ10番目の工場となり、2002年までに35万台の掃除機を製造、北米市場向けに輸出する見込みで、2003年から2004年にかけて製造を45万台に増やす予定。将来的には電気ストーブなどの製造も予定している。 (Reuters, Tokyo, 2001/06/22)

4月の対米貿易黒字増加、メキシコが米国の第二貿易相手国に

米国商務省の発表によると、4月期のメキシコの対米貿易黒字は、2000年の同期の5億1100万を48%上回る22億4千万ドルとなった。3月には20%の減少が見られていた。4月はメキシコが二国間貿易で米国の第2の貿易相手国となり、日本はこれに次ぐ第3の貿易相手国。第1はカナダ。(El Norte, Washington DC, 2001/06/21)

日本は対メキシコ投資に賭ける、とジェトロ

ジェトロの長島信之海外調査部欧州課長は、メキシコは不安定な状況から不安要因はあるものの、他の同等の国々ほど大きなものではなく、投資家たちは改善するものと期待している、と述べた。メキシコからアジア諸国に生産拠点を移す企業もあるが、同時に米国市場に近いこととEUとの自由貿易協定を結んでいることからメキシコを有利な拠点であると再確認してもいるし、米国への地理的な近さはよりよいサービスを顧客に提供するために重要な点であり、資本が大規模にメキシコから撤退するようなことはあり得ない、と述べた。より付加価値の低い製品はアジアに生産拠点を移しているが、メキシコで生産するものはより付加価値の高いものでなければならない、とした。また、メキシコには産業振興を支援する政策が欠如していることを指摘。アジアには固定資産税の割引があったりとメキシコよりもより多くのインセンティブを提供している国もあり、アジア諸国は日本政府がそうしたメキシコとアジア諸国の違いについてよく意識するように求めている、と述べた。(Mural, Guadalajara, 2001/06/21)

メキシコ工業会議所連合会長、メキシコは深刻な経済危機の状態にあると警告

メキシコの工業会議所連合(Concamin)会長デラフエンテ氏は連邦政府・国会議員・労働者部門に対し、米国の経済減速とメキシコ・ペソの過大評価の影響を軽減する方策を緊急に話し合うように求めた。必要な方策が採られない場合、12月までには80万の雇用が失われ、メキシコへの投資が枯渇するだろうと警告した。20日にConcaminが発表した文書によれば、メキシコは全体的な発展を目指さねばならず、そのためには国家の近代化・発展のための法制度の改正・産業振興のための政策と行動・生産の再編成を考慮した長期的な見通しをたてる必要があるとしている。(El Universal, Cd. de Mexico, 2001/06/20)

5月の失業率2.47%に

国立統計情報機構(INEGI)は20日、メキシコの5月の失業率が去年の同じ月の2.14%より多い47%スとなったと発表した。最も失業率が低かったのはカンクン・モレリア・アカプルコ・ティファナ・トルーカ・メヒカリ・ラパス・トレオン・ヌエボラレド・セラヤ・カンペチェ・クエルナバカ・メリダ・マンサニージョの各都市。就業者の65.6%がサービス部門に従事、そのうち56.6%が一週間に35〜38時間の労働をし、18%は35時間以下の労働だった。(El Universal, Cd. de Mexico, 2001/06/20)

メキシコ大蔵省、経済停滞を認める

国民総生産は増加するがメキシコは今年実質的経済停滞または経済不況となるだろうとヒルディアス大蔵大臣が認めた。2000年の7%成長に対し今年は2〜2.5%成長となる見込みで、メキシコ経済は「実質的に停滞、収縮の可能性もある」と述べた。今年の第1四半期は1.9%成長で、去年の同じ時期では5.1%だった。(El Universal, Cd. de Mexico, 2001/06/19)

英フィナンシャルタイムズ、プエブラ=パナマ計画を高く評価

英フィナンシャルタイムズは18日、メキシコのフォックス大統領が推進した戦略的プロジェクトであるプエブラ=パナマ計画は中米地峡の発展と統合にとって良い機会となるだろう、と評価した。フォックス大統領が先週の中米歴訪で提案した同計画は、米墨関係の利益を南にまで広げようとするもので、とくにインフラのプロジェクトを通じてこれを実現しようとするものである、とした。(CNI en Linea, 2001/06/18)

日産、北米の2001年型セントラ13万台をリコール

日産自動車は17日に打ち出した顧客満足のキャンペーンで、北米の2001型セントラ13万台を点検、サスペンションのネジを交換する場合もある。この13万台のうち7万9千台は米国、3万4千台はメキシコ、1万7千台はカナダにある。日産の報告によると、セントラの右サスペンション内側のネジが壊れる可能性があるが、悪路でのハンドルのぶれなどがおきる恐れがあるだけで、今回のリコールはあくまでも顧客満足プログラムの一環として行われるだけであり、人命に関わるような危険性はない、としている。また、これまでのところ、これを原因とする事故や怪我の報告はない。(El Norte, California, 2001/06/18)


2001.06.18号

「メキシコペソの高い対ドルレートは市場原理に忠実な動き」とフォルクスワーゲン

メキシコペソが高い対ドルレートを維持しているために輸出競争力を失った企業が、政府に対して「通貨の過大評価である」として調整政策を求める動きを見せているのに対し、フォルクスワーゲン・メヒコは現在の為替レートは市場の需要を反映しているものであるとして、この陳情には加わらない方針を発表した。フォルクスワーゲン・メヒコの渉外・政府担当であるトマス・カリグ氏は為替レートが市場原理に則って決定されている以上、競争力を維持するために状況に応じて調整を行い対応策を採っていくのは各企業側の義務である、と述べた。フォルクスワーゲン・メヒコは、世界全体の経済不況に起因する自動車部門の停滞に対処するために6回にわたる操業停止を行い、対米輸出用の自動車生産も15,000台削減する措置を既にとっている。(Notimex, Cd. de Mexico, 2001/06/15)

ペソの対ドルレート高値維持について、金融当局・企業・銀行で分析

最近メキシコペソが高い対ドルレートを維持していることに対し民間企業が懸念を示しているのを受けて、現政権では初めて政府の金融当局と企業・銀行のトップが8時間にわたる会合を持ち、金融政策について意見交換を行った。

メキシコの銀行家連合(ABM: Asociacion de Banqueros de Mexico)の呼びかけで行われたこの会合には約25名が出席し、メキシコの競争力・成長・発展のために求められる金融政策・経済構造改革とは何かについて話し合った。ABMの会長であるエクトル・アンヘル・ドメネ氏に同意して、政府金融当局と民間部門は、メキシコがとるべき最も優れた為替制度は現在採用している「変動為替制」であり、メキシコの競争力を高めるためには経済構造改革を急ピッチで進めなければならないと結論づけた。

民間企業部門を代表するX.ゴンサレスは、企業が経済停滞に対応できるようにするためにも中央銀行は緊縮財政政策と通貨流通制限を一層緩めるべきであり、さもないと資本逃避を招く結果になるであろう、と警告した。一方、中央銀行総裁のギジェルモ・オルティスは、現行の為替制度について説明し、民間企業の理解と協力を求めた。(Notimex, Cd. de Mexico, 2001/06/14)

メキシコ輸出入業者連合、政府に「1ドル=10.2ペソ」案を提出

メキシコ輸出入業者連合(ANIERM: Asociacion Nacional de Importadores y Exportadores de la Republica Mexicana)は大蔵省に対し、メキシコの対外競争力を強化するために、対ドルレートを1ドル=10.2ペソに設定する旨の提案書を提出した。連合の代表はメキシコ・ペソは30%ほど過大評価されており、現政権の経済計画から算出すると10.2ペソが妥当な水準である、と述べた。また、中央銀行に求めているのは通貨の切り下げではなく、競争力を維持するのに必要と思われる水準にまで為替の調整を行うことである、とした。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001/06/13)

地下鉄値上げ、地下鉄(メトロ)組合側は支持

地下鉄の労働組合長エスピノ・アレバロはインタビューに答え、政府が地下鉄運賃の値上げを実施しなければ、地下鉄はもっとも非効率なサービスの一つとなり、事故などの危険性も増えるだろう、と警告した。 (CNI en Linea, 2001/06/11)

日産、北米進出拡大拠点にメキシコを活用

再建計画「リバイバルプラン」が2年目に入った日産自動車 は、北米市場で今後5年間に15車種前後の新型車を投入する構想。成長性の高い中南米では、メキシコを拠点に、資本提携先の仏自動車大手ルノーと組み、市場開拓に乗り出す方針。(時事通信、2001/06/11)


2001.06.11号

「メキシコ経済不況、まだ底が見えず」メキシコ中央銀行が警戒

メキシコ中央銀行のラモス・フランシア(Manuel Ramos Francia)顧問は、メキシコの経済不況は米国経済失速と連動しており、米国経済は今年の9月から12月の間に回復する見通しとは言われているが、メキシコ経済に関してはまだ予断を許さない状態である、と警告している。米国の経済指標が発表されるたびに経済予測も下方修正されており、経済の回復の時期についても2000年末の段階で今年の第2または第3四半期とされていたものが現段階では年末まで引き延ばされている。こうした対外的な影響はメキシコ経済に次のような二つの経路で及んでいると指摘。一つ目は即物的な経路で、米国との通商の減少と石油価格の不安定性。二つ目は金融面での経路で、ロシアやブラジルの経済破綻に象徴される経済の混迷状態のために、新興経済にとって対外的な資本の獲得が困難になっている、とした。

メキシコシティのメトロ(地下鉄)、2002年から2ペソに値上げ

ロペス・オブラドール連邦特別区知事は、2002年1月から地下鉄の切符を50センタボ値上げし、2ペソとすることを発表した。今年いっぱいは、メトロをはじめ、トローリーバス、ソチミルコへの路面電車、公営バスなどの公共交通機関の値上げはない。(Reforma, Cd. de Mexico, 2001/06/08)

運賃改定は97年12月(1.30ペソ→1.50ペソ)以来、約4年ぶり。メトロ公団のゴンザレス総裁によると、運賃は市の補助金が無ければ実質4.50ペソに達しており、設備メンテナンスの予算確保のため「値上げは避けられない」状況にある。人口900万人のメキシコシティでメトロは重要な市民の足となっており、1日平均450万人が利用している。(Reuters, Mexico D.F, 2001/06/08)

フォックス大統領、メキシコとの経済的協調関係を中国の企業家たちに要請

フォックス大統領は中国の企業家たちを前に「中国はメキシコとの経済関係は、競争は後回しにして戦略的な連帯関係にならねばならない。中国の知恵・競争力・技術力をメキシコの知恵と協調させねばならない」と述べ、これに参画しないあるいは遅れをとるものは愚かだ、と述べた。また、現在の通商が対等なものでないことに言及し、メキシコとの通商拡大を要求した。(Notimex, 北京, 2001/06/07)


2001.06.04号

アエロメヒコの客室乗務員のストライキ、2日間で収束

6月2日まで2日間続いたアエロメヒコの客室乗務員によるストライキは、乗務員の組合側が9.5%の賃上げに合意して土曜日に収束した。ストライキはメキシコ全土のアエロメヒコのオフィスとカウンターで、金曜に日付が変わるとともに実施され、1500人の客室乗務員が11%から15%の賃金引き上げを要求した。当初は30%引き上げを要求していた。このストライキで1日につき320便が欠航、25,000人から30,000人の足に影響を与えた。アエロメヒコの客室乗務員は去年にも13日間、1998年には5日間のストを決行している。アエロメヒコの株式の多くは政府保有で、国内便の42%、国際便の20%を占めている。(Reuters, Cd. de Mexico, 2001.06.02)

「日本との自由貿易協定、2003年までに」とフォックス大統領

フォックス大統領は来日を前に日本の主要紙のインタビューに答え、2003年には日墨自由貿易協定の合意に達したいとの意向を今回の来日で日本側に伝える、と述べた。メキシコ国内で操業する日本企業にとっては、メキシコと既に自由貿易協定を結んでいる米国や欧州連合の市場に関税なしでアクセスできるというメリットがあり、メキシコ側としては、日本が農産物市場を徐々に自由化していくことを期待しているとした。農産物市場の自由化をめぐる交渉が成立すれば、メキシコはシンガポールに次いで二番目に日本との交渉を達成する国となる。(El Economista, Cd. de Mexico, 2001.06.02)

日墨自由貿易協定締結に向けて交渉開始、両国政府が合意

フォックス大統領来日を前に日墨両政府は自由貿易協定締結に向けた交渉を開始することに合意し、近く研究会を設けることとなった。交渉の焦点となると考えられているのはカボチャなどの農産品の輸入関税をめぐる問題。日本の農水省は二国間協議に応じないとの姿勢を示し、関税引き下げには応じない構え。(毎日新聞, 2001/05/31)

メキシコ工業会議所連合、ミクロ経済レベルでの経済危機に懸念を表明

メキシコの工業会議所連合(Concamin: Confederacion de Camaras Industriales)会長のデ・ラ・フエンテは記者会見で、「メキシコ政府が発表するマクロ経済指標には数々の経済部門や地方のミクロ経済レベルでの危機の実体が反映されておらず、これらの危機に対応策を講じなければ、2.5%という経済成長が実現できない恐れがある」と警告した。また、先頃発表された「国家開発計画」は金融部門に重点を置いており、付加価値をもっとも多く生み出している工業部門を軽視している、と批判。ペソが過大評価されていることと、小規模・零細工業の経営破綻により失業率が上昇し貧困層が拡大するであろうことに強い懸念を示した。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001.05.31)

メキシコ連邦特別区、シティグループによるバナメックス買収に関する相談をインターネット上で受け付ける計画

連邦特別区(Mexico, D.F.)知事のロペス・オブラドールは、シティグループによるバナメックス買収をめぐる相談窓口をインターネット上で設置し、一般市民や専門家の意見交換の場とする計画があると発表した。ロペス・オブラドールは今回の買収に反対の立場。(CNI en Linea, Cd. de Mexico, 2001.05.30)