■政治ニュース■

2001.05.28号

メキシコ政府、国家開発計画(2001-2006)発表へ

フォックス政権は5月29日、2001年〜2006年にかけての国家開発計画を発表する。経済開発・社会部門・連邦制・持続可能な成長・環境などの問題に対する現政権の計画が発表される見込み。計画はまず議会に提出され、フォックス政権における優先事項が決定される予定。今回の計画の提出行事には初めて、32の各州の知事が参列しない。(Reuters, Coahuila, 2001.05.24)

フォックス大統領のアジア諸国訪問を前に、メキシコ内務省は「国家開発計画2001-2006」の政治に関する部分を完成させた。国家開発計画は、大きく「人間開発、政府の刷新、秩序・尊重、政治の発展」4つのテーマに分けられている。政治の発展に関しては、選挙改革があげられており、連邦選挙機関(IFE)に中間選挙におけるより大きな権限を与えることや国外在住のメキシコ人に選挙権を与えることなどを盛り込んでいる。(El Economista Online, 2001.05.24)

14名の不法入国者の遺体を発見、対米移民の歴史上最悪の悲劇

アリゾナで発見された不法入国者のベラクルス州出身のメキシコ人の遺体は、米国への不法入国のブローカーである「ポジェロ」の一人が、車の故障を理由に砂漠のただ中に置き去りにした人々のものであることがわかった。「ポジェロ」が戻ってこないため、30人のメキシコ人は方向もわからないまま歩き出したが、水も食料もない状態で14名が死亡した。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001.05.25)


2001.05.21号

70年代「汚い戦争」のゲリラ部隊蜂起34周年

メキシコ軍がルシオ・カバニャス・バリエントス率いるゲリラ部隊と戦闘を繰り広げ、500人におよぶ行方不明者を出した、70年代のいわゆる「汚い戦争」。その始まりとなった、カバニャス軍蜂起を記念する行事が18日、行われた。行事を主催した「不法拘留者・行方不明者およびメキシコにおける人権侵害の犠牲者の家族の会」(Afadem)は、アトヤックで発見された民間人のものと見られる人骨(下方、「ゲレーロ州山中で23人分の人骨発見」の記事参照)の公正な調査の実施を訴えた。(Grupo Reforma, Guerrero, 2001/05/18) 

Afademは先の16日にも、人骨の調査に国際組織による監視団を付けることを求めている。「メキシコ治安当局の調査に不信感を抱いており、発見された人骨が動物の骨であるなどの見解を発表されるのではないかと恐れている」と述べている。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001/05/17)

またこの「汚い戦争」中に行われた誘拐や拷問に深く関わったとされているメキシコ軍アコスタ・チャパロ将軍に対する責任追及に関しては、治安当局は現在のところ「調査段階」にあるとしているが、いくつかのNGOなどが提出した証言などに基づき疑いが強まったとしている。アコスタ・チャパロ将軍は現在、健康侵害およびフアレスの麻薬カルテル(Cartel Juarez)との共謀の罪で服役中。(La Jornada, Cd. de Mexico, 2001/05/10)

カマチョ・ソリス元大統領候補、フォックス政権のこれまでの政策を批判

制度的革命党(PRI)のカマチョ・ソリス元大統領候補(現在は政治アナリスト)は、メキシコ政府が政権掌握以来取ってきた政策は、政府が抱える最優先課題を解決する方法として間違っている、と批判した。中でも財政改革、チアパス問題、ユカタン問題などに言及して政策の誤りを指摘し、「人気を取るために取ったこれらの政策は、政府自身の最優先課題を解決するのに必要なものではなかった」と述べた。(Notimex, Merida, Yucatan, 2001/05/18)

PRD、新しい「インディヘナ法」を提出

メキシコ最大の左派政党である民主革命党は、4月に上下院で承認されたもののサパティスタ民族解放軍によって拒絶された「インディヘナ法」にかわる新しい「インディヘナ法」案を提出した。和平のための調停委員会(Cocopa)の原案を採用した内容。(Reuters, 2001/05/17)

ゲレーロ州山中で23人分の人骨発見

ゲレーロ州アトヤックの地下墓地で、23体の人骨と見られる骨が発見され、「汚い戦争」と呼ばれた70年代のゲリラ対メキシコ軍の戦闘の犠牲者との見方が強まっている。1974年にメキシコ軍が兵舎を構えていたトレス・パソス・デル・リオ村で、保安庁の調査員と国家人権委員会からの調査団とが発見した。(CNI en Linea, 2001/05/16)


2001.05.14号

メキシコーグアテマラ不法入国問題で協力体制

人口・移民・宗教問題担当事務次官のハビエル・モクテスマは、グアテマラのバリエントス内務大臣とともに行った記者会見の中で、メキシコーグアテマラ両政府は、米国への不法入国者を斡旋する「ポジェロ」と呼ばれるブローカーの摘発を協力して行っていく計画がある発表した。メキシコ政府統計によれば昨年1年間で、米国への不法入国を企ててメキシコに入国した10万人のグアテマラ人が逮捕されている。メキシコはグアテマラと970キロメートルの国境線を持ち、メキシコ-米国は3000メートルの国境線で接している。(Reuters, Cd. de Guatemala, 2001/05/11)

全国先住民連合、今週から「インディヘナ法」に抗議する「行動計画」を開始

メキシコ合衆国内の27州の42のインディヘナ人口を統括する全国先住民連合(CNI: Congreso Nacional Indigena)は5月9日、それぞれの州議会が「インディヘナ法」を批准しないよう圧力をかける抗議行動を14日の週から開始すると発表した。「行動計画」の中には、州議会前でのデモから、約8万に及ぶ個人及び組織の「インディヘナ法」反対署名をフォックス大統領に渡すことなどが含まれている。 (CNI en Linea, 2001/05/09)

5月7日メキシコシティとグアダラハラで露天商対警察の衝突

メキシコ市歴史地区の路上で商業活動を行っている露天商に対する取り締まりが5月7日行われ、露天商対警察の激しい武力衝突に発展、18名のけが人が出た。衝突は午後2時過ぎと5時前の2回にわたって起きた。2度目の衝突は警察が200名以上出動して起き、政府の発表によれば露天商側も200人余りが棒や石などを持って応戦した。治安当局によれば、闘争に加わったのは実際に立ち退きを命じられた露天商ではなく、警察の取り締まりに対処するために露天商側が契約している「武装隊」である。

同日、メキシコ第2の都市グアダラハラでも警察による露天商駆除作戦があり、約600名の警官が出動、武力衝突となった。 (Reuters, Notimex, Cd. de Mexico, 2001/05/08)


2001.05.07号

EZLN、「インディヘナ法」を却下

4月29日発表のコミュニケでEZLN(サパティスタ民族解放軍)は、上下院で可決された「インディナの権利と文化に関する法律」を、「メキシコのインディオの要求に全く応えていない」と拒絶した。(コミュニケの全文はEZLN公式HP:http://www.ezln.org/ を参照)これに伴い、政府との対話/接触を延期した。(EZLN公式HP, 2001/04/29)

フォックス大統領、アメリカ合衆国を公式訪問

5月3日から4日にかけて、フォックス大統領が米国訪問を行い、ブッシュ大統領らと会談、移民やエネルギー問題などを中心とする二国間問題について話し合った。(CNI en Linea, 2001/05/01)

メーデーの論点の中心はやはり税制改革、加えて「インディヘナ法」に対する抗議デモも

付加価値税(IVA)を食料品・医薬品・書籍・学費に課す税制改革中止・見直しが、全国のメーデー集会・デモの要求事項の中心となった。(CNI en Linea, 2001/05/01)

"Fox escucha, contra el IVA es la lucha"(「耳を貸せフォックス、IVA反対、これは戦いだ」)と連呼しながら、電話会社の労働組合がデモ行進。このほかに、女性の労働参加の拡大や、賃金引き上げ、労同条件の改善などを求めた。また、首都メキシコ市のソカロ(中央広場)には、連邦特別区の治安当局による交通規制がしかれるなか、国立人類学博物館で13時より行われる公式メーデー集会より早い午前7時から複数の労働組合連合・独立系労働組織が集結しはじめ、税制改革反対と同時に、「インディヘナに関する法律」に反対しEZLN(サパティスタ民族解放軍)に同調する主張も行われた。ゲレロ州アカプルコでは、紙製のフォックス大統領の人形が焼かれた。(Grupo Reforma, 2001/05/01)

政府系労働組合連合、メーデー「公式」集会を国立人類学博物館で開催

マルタ・サアグン広報官は、新しく「民間行事」として国立人類学博物館で行われるメーデーの集会は、意見交換が成り立っていなかったこれまでの組合側と政府側の関係をより民主的なものにかえるだろう、と述べた。(Notimex, 2001/05/01)


2001.05.01号

メーデー対策で1300人の警官を配備:メキシコシティ

メーデーの集会に備えて約1300人の警官をメキシコシティの歴史地区の道路を中心に配備する、と治安当局が29日日曜日に発表した。デモ隊の最初の25万人が午前7時にソカロ(中央広場)に集結すると見られている。(Reuter, 2001/04/29)

下院でインディヘナに関する憲法の条文見直しを含む法案批准

4月27日、メキシコ合衆国憲法の中でインディヘナ(先住民族)問題に関わる条文の見直しを含む法案の討議が下院で始まり、28日、批准された。賛成386、反対60。見直されるのは第1条、第2条、第4条、第18条および第115条。PRD(民主革命党)は、インディヘナ全体の状況改善を図るためには様々な面からの検討が必要で、憲法改正を急ぐべきではない、と反対している。(Reuter, Notimex etc., 2001/04/28)

上院でインディヘナ問題をめぐる憲法改正を含む法案を承認

4月25日全会一致でインディヘナ問題をめぐる憲法改正を上院が承認。フォックス大統領は下院に対し、「インディヘナの権利と文化に関する法律」の批准を優先し、その後懸案の財政改革に集中するよう要求した。(Grupo Reforma, Cd. de Mexico, 2001/04/26)