■■ OTOKITAのラテン音楽TOP10 ■■


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2001.11.16号

新人アイドル、B.A.S.E.

病み上がりのA.グスマン

人気急上昇!UFF

秋の夜長にP.ミラネス

みなさま、いかがお過ごしですか? 私は先週、タンスの奥に追いやられていたハイネック・セーターと久しぶりの対面を果しました。冬はもうすぐそこですね。
さて、それではいつもの様に「Mixup」(大手音楽ショップ)のアルバム売上チャートおよび「TV AZTECA」(メキシコのニ大テレビ局のひとつ)の音楽情報番組『TOP TEN』のシングルチャートをもとに、ラテン音楽動向をのぞいて見ましょう。

たまには気分を変えてシングル・ランキングから!

【ラテン・シングルTop10】TV Azteca調べ:11/3-9

1. LOVE COLADA/OV7(OV7/メキシコ)
2. TWIST/Uff(ウフ/ベネズエラ)
3. ASI ES LA VIDA/Elefante(エレファンテ/メキシコ)
4.SUERTE/Shakira(シャキーラ/コロンビア)
5.PRENDIENDO FUEGO/Alan(アラン/メキシコ)
6.DESATAME/Magneto(マグネト/メキシコ)
7.VOLVERE JUNTO A TI/Laura Pausini(ラウラ・パウシーニ/イタリア)
8.DISCO AMOR/Mario Domm(マリオ・ドム/メキシコ)
9.DE VERDAD/Alejandra Guzman(アレハンドラ・グスマン/メキシコ)
10.PISANDO RAYA/B.A.S.E(べ・ア・エセ・エ/メキシコ?)

●今週の第10位は、ダンスがお得意な少年アイドル5人組。某スポーツ番組の独占インタビューで、西武ライオンズの若きエース、松坂大輔投手が今シーズン(15勝15敗)を振り返ってこう語っていました。「キャンプ中から調子は良かった。第一試合目に勝てなかったことが、イマひとつ(勢い)にのれなかった原因だと思う」と。デビュー・シングルで見事トップ10入りを果したB.A.S.E.、この勢いでスター街道を突き進み、UFFの手ごわいライバルとなるでしょうか!?
●続くはロック界の姉御アレ。音楽ニュースで取り上げましたが、同曲が収録されている最新アルバム『Soy』のプロモーション中にロスで体調を崩し、数週間ほど療養生活を送っていました。PR活動が一時中断となってしまったものの、プエルトリコでNo.1に輝くなど、上々の滑り出し。(メルマガの連載コーナーみたいですが)曲名は「本当に」とか「本当の」という意味。日常会話によく登場します。ちなみに同義語は“de veras”(デ・べラス)。イマドキの若者風に訳すと「マジでさ〜」「マジでぇ〜?」となります(笑)。
●第8位は初登場のマリオ・ドム。ドレッドヘアーにサングラス姿でキメた、ファンキー・モンキー・ベイベーな青年です。ネットで少し試聴しただけですが、出だしの感じがジャミロクアイ(来日目前!)みたいでした(ホメすぎ?)。話は飛びますが、ドレッドヘアーといえば、フジテレビの人気番組『あいのり』の参加メンバー、(通称)レゲエ。私と同じく福岡県出身。この番組ご存知ですか?「恋人募集中の男女が、ピンクのラブ・ワゴンに揺られながら“真実の愛”を求めて旅をする」という企画モノで、現在、ご一行はキューバ横断中。流れ的にはそろそろメキシコ入りするハズ! 少し前、一向に“春”のやってこない私を心配した姉が、「ねぇ、マジメな話さぁ、オトチキも参加してみれば? 一緒に旅していく過程でジワジワと良さを分かってもらえるかもよ?」なんてアドバイスしてくれたりして…。ちなみにこのコメントをスペイン語に訳した場合、先ほど登場したフレーズ“de verdad”が使えます(笑)。

本題に戻りましょう。メキシコ人らしからぬ風貌のマリオ・ドムはDJ出身。8月にトルーカ(メキシコ州)で開かれたミス・メキシコの選考会には、甘〜い歌声に定評のあるマルコ・アントニオ・ソリスと並んでゲスト出演。その翌月は、初代マグネトの(期間限定)再結成コンサート最終日のオープニング・アクトを任され(マグネト・ファンには不評だったようですが…)、数週間前には(マグネト解散後)ソロに転じたアランとタッグを組んでのコンサート(一万人収容のアウディトリオにて)…と実績を重ねています。そういえば、OV7とのデュエット曲も。←7対1でもデュエットになります?
●さて、話題にのぼったアランは前回第1位。今週は第5位に転落してしまいました。この曲は今年発売されたソロ第2弾アルバムからのシングル・カット。ロック寄りのポップスで、アイドル脱皮を意図してか、なかなか男らしい歌いっぷり。曲調もアップテンポでドラムが利いてます。ただ、当然ながら童顔と声質にアイドル全盛期の面影を感じます(笑)。
●エレファンテは手堅く第3位をキープ。バンド名が「ゾウ」だけに息も長いゾウ(さぶっ)。そして、ベネズエラのアイドル5人組UFFが第2位と大躍進(前回第5位)! 将来、リッキー・マーティンやアランのようにソロで活躍するメンバーが誕生することでしょう。(宝塚みたいに)先物買いはいかが(笑)?
●注目の第一位はOV7! ノリにノッテル彼らですが、そのスタイルはグローバル性(なかでも米国文化)をかなり意識したもの。メンバー7人中ふたりが黒人系で、楽曲にも英語のフレーズを多用しています。メキシコ臭さを排除することによってオシャレ感(憧れ?)を引き出そうという戦略かも。彼らと対称的なのはKabah(カバー)。髪を赤や青に染めたり、山本寛斎もビックリ(?)の奇抜な衣裳で楽しませてくれるなど…と個性炸裂。スキンヘッドにする女性メンバーもいました。オーディションではなく、姉と弟、イトコ、遊び仲間で結成されているからか、いつも楽しそう(笑)。洗練さには欠けますが、コテコテ感がかえって親しみやすさを生んでいます。日本で売り出すにはちと濃いかも…。

お次はアルバム・ランキング〜!

【ラテン・アルバムTop10】(Mixup売上げチャート:1/13時点)

1. LO MEJOR DE LAURA PAUSINI/Laura Pausini(ラウラ・パウシーニ/イタリア)
2. 7 LATIDOS/OV7(OV7/メキシコ)
3. MTV UNPLUGGED/La Ley(ラ・レイ/チリ)
4. PABLO QUERIDO/Varios (複数アーティスト/メキシコ)
5. SOY/Alejandra Guzman(アレハンドラ・グスマン/メキシコ)
6. ORIGENES/Alejandro Fernandez(アレハンドロ・フェルナンデス/メキシコ)
7. El VIAJE A COPPERPOT/La Oreja de Van Gogh(ラ・オレハ・デ・ヴァンゴッホ/スペイン)
8.TROZOS DE MI ALMA/Marco Antonio Solis(マルコ・アントニオ・ソリス/メキシコ)
9.UFFユFORIA LATINA/UFF(ウフ/メキシコ)
10.DE NOCHE EN LA CIUDAD/Aleks Synteks(アレックス・シンテックス/メキシコ)

●第9位はUFF。タイトルは「UFF」+「EUFORIA」(幸福感)の造語だと思います。正統派アイドル・グループだけに、もし日本盤が発売になったら、『う(U)・ふ(F)・ふ(F)な幸せ』なんてタイトルになるのかしらん(笑)。
●ところで、姿を消してしまったシン・バンデラ(前回第9位)ですが、メキシコ人とアルゼンチン人の男性ユニットだと判明。デビュー・アルバムにあたる本作は、何と!私の好きなシンガーソングライター、アウレオ・バケイロがプロデュースしてました。今月16日にグアテマラが生んだ熱〜い男、リカルド・アルホナのコンサートがメキシコシティの有名な闘牛場で開かれますが、オープニング・アクトを務めることとかで、今後の活躍に期待! ラテンアメリカのSavage Garden(オーストラリア出身の人気ユニット)になれるか!?
●大御所パブロ・ミラネスのコンピレーション・アルバムは着実に売上を伸ばし、今週第4位にランクイン。彼の歌声はとても落ち着いていて、聴いていると穏やかな気分に浸れます。微妙なビブラート加減がステキ(笑)。死者の日(11/1)にメキシコシティのダウンタウン(ソカロ)で行われた野外コンサートに行けなくて残念(メキシコは遠いですねー)!小劇場や酒場もしくはカフェといった雰囲気のあるスペースで聴くタイプの音楽だと思うので、野外だとどんな感じなのか興味津々。ところで、本作のジャケット写真を見て、小錦に似てると思ったのは私だけでしょうか…。
●いまだトップ10圏内をキープしているオレハ・デ・ヴァン・ゴッホ、恐るべし。初のラテンアメリカ・ツアーの一環として、ファン待望のメキシコ公演をスタート! 今週末にメキシコシティのメトロポリタン劇場で2回公演(16日・17日)を控えており、その後はモンテレイ(モンテレイ州)、レオン(グアナファト州)、グアダラハラ(ハリスコ州)、クエルナバカ(モレロス州)と続く予定。
とはいえ、その人気とはウラハラに、メディアの間(メキシコだけ?)では「音楽性に欠ける」とか「人気が実力を先行している」といった辛口の批評も飛び交っているようで…。来墨記者会見の席で、紅一点ボーカルのアメイアは、「自分の容姿がグループ人気を支えていると思うか」という類のイジワルな質問をされ、不快感を示したとの報道も…。うーん、音楽はファンとアーティストが楽しければ十分だと思うんですけどね。どうでしょう?
●第1位は、ジャジャーン! ラウラ・パウシーニ嬢。メキシコ公演の効果があったのでしょうが、早々と王座にのぼりつめました。ベスト・アルバムですしね。本作で一曲だけゲスト参加(ベース)している同胞ミュージシャン、ネックもメキシコでは人気者。ジャンル的にはアランをもっとワイルドにしたようなポップシンガーでしょうか。短めの髪をツンツンに立て、いつもひたむきに歌ってます。そういえば、彼の出世曲は『ラウラ・ノ・エスタ』(ラウラはいない)(笑)。

というわけで、今回はこのヘンでお別れです。また次回お会い致しましょう!