■■ OTOKITAのラテン音楽TOP10 ■■


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2001.10.30号

OV7

ラウラ・パウシーニ

トリビュート・アルバム
『親愛なるパブロへ』

ミゲル・ボセ

みなさん、秋ですねぇ(笑)。読者のひとりであるMonさんが、「セツナ系」の曲をお探しでしたが、確かにこの時期は切ないメロディーが聴きたくなります。
ところで、このコーナー、最近は週1回更新が保てずにいます。実は、“OL”という名のわらじを脱ぎ捨て、フリーライター稼業へと足を突っ込んだもので、執筆やアルバイト等、いろんな意味でサバイバル生活を送っているのです(笑)。ついついお仕事の方にエネルギーを注いでしまい、気がつくこちらの締切を過ぎていたりして…。徐々に基礎体力をつけて参りますので、しばし見守ってやってください(笑)。

それでは、いつもの様に「Mixup」(大手音楽ショップ)のアルバム売上チャートおよび「TV AZTECA」(メキシコのニ大テレビ局のひとつ)の音楽情報番組『TOP TEN』のシングルチャートをもとに、ラテン音楽動向をチェックしたいと思います。

まずはアルバム・ランキング〜!

【ラテン・アルバムTop10】(Mixup売上げチャート:10/28時点)

1. 7 LATIDOS/OV7(OV7/メキシコ)
2. MTV UNPLUGGED/La Ley(ラ・レイ/チリ)
3. ORIGENES/Alejandro Fernandez(アレハンドロ・フェルナンデス/メキシコ)
4. LO MEJOR DE LAURA PAUSINI/Laura Pausini(ラウラ・パウシーニ/イタリア)
5. DE NOCHE EN LA CIUDAD/Aleks Synteks(アレックス・シンテックス/メキシコ)
6.El VIAJE A COPPERPOT/La Oreja de Van Gogh(ラ・オレハ・デ・ヴァンゴッホ/スペイン)
7.PABLO QUERIDO/Varios (複数アーティスト/メキシコ)
8.TROZOS DE MI ALMA/Marco Antonio Solis(マルコ・アントニオ・ソリス/メキシコ)
9.SIN BANDERA/Sin Bandera(シン・バンデラ/メキシコ?)
10.EL QUE BUSCA SE ENCUENTRA/Elefante(エレファンテ/メキシコ)

やはり、2週間経つとランキングにかなりの変動が見られますね(苦笑)。

●第10位はメキシコ北部出身バンド、エレファンテ。前回から4ポイントのダウンとはいえ、長期にわたって順調に売上げを伸ばしています。タイトルを直訳すると「探す者は見つける」。何だか格言ぽいですよね。「信じる者は救われる」みたいな? このアルバム、メキシコ滞在中にMixupの試聴コーナーで全曲聴きました(笑)。酒場に合いそうなアンプラグドな仕上りで、ライブに行ってみたくなりました(迷ったあげく、買わずじまい)。
●さて、第9位のシン・バンデラですが、実はいまだ正体つかめず(メキシコ出身ではないかも…)。ネット検索すると、毎回、アメリカ同時テロ事件の関連記事ばかりヒットします。「バンデラ」が国旗の意味なので…(苦笑)。もし、情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、教えてくださいね。来週に向けて調査は続行しますが、果してトップ10圏内にいるでしょうか…。
●大注目は第7位。『親愛なるパブロへ』というタイトルどおり、キューバの吟遊詩人、パブロ・ミラネスの功績をたたえるアルバムです。スティングやスティービー・ワンダー、カエタノ・ベローゾ、フェル(マナ)ら、海外の大物アーティスト約20名が参加。実に豪華なメンバーなので、来週あたり詳しく取り上げたいと思います。ちなみに、去る15日にメキシコシティのアウディトリオで記念コンサートが開催され(さすがに全員参加!とまでは行かなかったようですが)、冒頭にノーベル文学賞作家ガルシア・マルケス(コロンビア)によるメッセージ(朗読?)が流されたとか。
●第4位は安定した人気と実力の持ち主、ラウラ・パウシーニ。“イタリアの歌姫”のベスト盤ですから、ロングヒットは折り紙つきでしょう。彼女の清廉なイメージと透明感のある歌声に、松たか子と相通じるものを感じているのは私だけ?!
●第一回目の連載開始から、(No.1を含め)たえずランキング上位をキープしてきたオレハ・デ・ヴァン・ゴッホが、ここにきて第6位と後退(前回第4位)。とはいえ、11月にファン待望のメキシコ公演が予定されているので、まだまだ勢いを取り戻す可能性はあります。“第一回ラテン・オトキータ賞”ノミネート候補だけに、目が放せません(笑)。
●前回同様、第2位のラ・レイは、ラテン系ロックバンドにありがちな“むさくるしさ”(?)を感じさせないモード系バンド。実は熱い人たちなのでしょうけど、スマートな印象を受けます。スペイン語圏で絶大な支持を得ていて、日本のアーティストに置きかえると(音楽性は違いますが)、Mr.Children(ミスチル)あたり? ボーカル担当のべト・クエバスは、ミスチルの桜井さんと同じく色男で、“(スーパー・モデルとして有名な)ナオミ・キャンベルに言い寄られた”、とか“シャキーラがときめいた”なんて噂が流れたことも(笑)。13年以上も交際しているモデルさんとの間に子供が2人いて、来年の頭に挙式を控えています。
● 強豪を抑えてミゴト王座に輝いたのは、ジャ―ン、男女混合アイドル7人組のOV7!アル
バム名『7 Latidos』とは“7つの鼓動”の意味。このアルバムで本格的な海外進出に乗り出すので、タイトルも気合い十分。具体的な動向は来週ご紹介します。ところで、彼らのグループ名って、ジャニーズのV6みたいですよね(笑)。たしかV6の最新アルバムは『Volume 6』。タイトルのノリも似ています。

続いてシングル・ランキング〜!

【ラテン・シングルTop10】TV Azteca調べ:10/20ー26

1.PRENDIENDO FUEGO/Alan(アラン/メキシコ)
2.ASI ES LA VIDA/Elefante(エレファンテ/メキシコ)
3.LOVE COLADA/OV7(OV7/メキシコ)
4.VOLVERTE A VER/Aleks Synteks(アレックス・シンテックス/メキシコ)
5.TWIST/Uff(ウフ/ベネズエラ)
6.HEROE/Enrique Iglesias(エンリケ・イグレシアス/スペイン)
7.CREO/Shakira(シャキーラ/コロンビア)
8.DESATAME/Magneto(マグネト/メキシコ)
9.MORENA MIA/Miguel Bose(ミゲル・ボセ/スペイン)
10.COMO CAMARON/Estopa(エストパ/スペイン)

●第10位はエストパ。スペインの兄弟ユニットが新曲を引っさげて戻ってきました。続く第9位にランクインしたのは同じくスペイン出身のベテラン・シンガー、ミゲル・ボセ。力の抜けた歌い方、独自の“ユルさ”が魅力です。私の中では、「汗の似合わないアーティスト」の上位者。レスラー議員、大仁田厚とは実に対照的…(笑)。少し前に音楽ニュースで取り上げましたが、伝説化しつつあるポップ3人組“メカーノ”の紅一点ボーカル、アナ・トロハとユニット「Girados」を結成し、ツアーを成功させました。この度、久々のソロ・アルバムを発表。MANAのドラマーで友人のアレックスがゲスト参加して話題となっています。ちなみに、アレックスはいつも大粒の汗を流しながらドラムを叩いてます(笑)。
●第7位はシャキーラ。英語の楽曲を中心とした最新アルバム『Laundry Service』をリリースしたばかりで、もっか精力的なプロモーション活動中。来月にメキシコ訪問を予定しています。6位のエンリケ・イグレシアスは、この曲のビデオクリップで、恋人と噂されていたハリウッド若手女優、ジェニファー・ラヴ・ヒューイットと共演。ファンや関係者の間で話題騒然となりましたが、プライベートでは良き友人とのこと。
●第2位はアルバム部門で10位に入ったエレファンテ。曲名『人生ってそういうものさ』みたいに、サバンナや動物園のどこかに悟りきったゾウ(=エレファンテ)がいたりして…。アルバム名と同じく、奥深いタイトルです。
●前回、第3位だったアランがNo.1!かつて在籍していた男性アイドルグループ、マグネト(メンバー総入れ替え)も第8位と健闘しています。そういえば、前回の第1位(ラガッツィ)と第2位(ジーンズ)が姿を消しましたね。先週何があったのでしょうか…(笑)?

いかがでしたか? 今週はこの辺でお別れです。来週もがんばるぞー!…の予定(笑)。あ、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、30日にラテン・グラミーの受賞者が発表されますね。気になる結果は、音楽ニュースで取り上げたいと思います。


2001.10.15号

ブラジル・バラード界の星、A.ピアーズ

ポップ界の巨匠、アレックス・シンテック

メヌードを追い越せるか、ウフ(Uff)

元モエニアのボーカル、モルボ

こなさん、大変ご無沙汰の「ラテン音楽TOP10」です。長い間お休みしてごめんなさい。気になりつつも、諸々の事情で更新できませんでした。ラテン音楽への情熱とミーハー魂は健在なので、今後ともよろしくお付合い下さいね。

それではいつもの様に、大手音楽ショップMixupのアルバム売上チャート&メキシコニ大テレビ局のひとつ、TV AZTECAの音楽情報番組『TOP TEN』のシングルチャートをもとに、ラテン音楽動向をチェックしたいと思います。

まずはアルバム・ランキング〜!

【ラテン・アルバムTop10】(Mixup売上げチャート:10/10時点)

1. Origenes/Alejandro Fernandez(アレハンドロ・フェルナンデス/メキシコ)
2. MTV Unplugged/La Ley(ラ・レイ/チリ)
3. De Noche en la Ciudad/Aleks Synteks(アレックス・シンテックス/メキシコ)
4.El Viaje de Copperpot/La Oreja de Van Gogh(ラ・オレハ・デ・ヴァンゴッホ/スペイン)
5.Trozos de Mi Alma/Marco Antonio Solis(マルコ・アントニオ・ソリス/メキシコ)
6.El que busca se encuentra/Elefante(エレファンテ/メキシコ)
7.En el Bar 2/Nicho Hinojosa(ニチョ・イノホサ/メキシコ)
8.Sin Bandera/Sin Bandera(シン バンデラ/メキシコ)
9.Alexandre Pires/Alexandre Pires(アレクサンダー・ピアース/ブラジル)
10.Tiempo Transcurrido Grandes Exitos/Cafe Tacuba(カフェ・タクバ/メキシコ)

● 第10位の「カフェ・タクバ」は超個性派バンド。彼らのアルバムは日本でも数枚リリー
スされているので、本作も発売されるかもしれませんね。私はメキシコでゲットしてきました。ベストアルバムだけあって、彼らの魅力が凝縮された一枚。おススメです。

ボーカルのアニーバルは名前を変えるのが趣味(?)。少し前は゛アノニモ゛(匿名)と名乗ってました(苦笑)。吉本バナナがかつて絶賛していた「ブルーハーツ」(現ハイロウズ)のボーカル・ヒロトのように、レロレロした歌い方(視点の定まらない感じ?)が特徴。今はどうか分かりませんが、同じように舌を出したり、飛び跳ねたりしてました(笑)。頭をラーメンマンのようにしたり、ダリ風のヒゲを生やしたりと一見キテレツな感じですが、基本はアコースティック。ヨーデル調の裏声がお茶目です。キッチュなラブ・ソングやアングラ系の楽曲も得意。メレンゲの王様ファン・ルイス・ゲラ(chiakiがメルマガで紹介しました)の名曲『Ojara que llueva cafe』(コーヒーが降り注ぎますように)を、爽やかに歌ったりもしています。

首をタテにガンガン振ってリズムをとりたくなるような楽曲には、メキシコシティの若者が使うスラングがたくさん登場。度々゛しゃがれ声゛になるので、聴き取りが更に難しくなります(苦笑)。たとえば、『Chilanga Banda』(チランガ・バンダ)というラップ曲。よーく聴かないとスペイン語だと気づかない…。タイトルの゛チランガ゛(またはチランゴ)は「メキシコ市民」の俗称で、゛バンダ゛はいわゆる「不良グループ」のこと。゛セルベサ゛(ビール)は゛チェラ゛、゛トラバホ゛(トラバホ)は゛チャンバ゛…と万事この調子です。

●第9位はブラジルの大編成バンド「SPC」(So Pra Contraiar)のメインボーカルだったアレクサンダー。自分たちの『Depois do placer』という曲をスペイン語でカバーし、一躍スペイン語圏に踊り出たグループです(スペイン語版は『Cuando acaba el placer』)。伸びやかな声で、甘いバラードを歌わせたらピカイチ。私的には(セクシーさも含め)アマウリ・グティエレスに共通するものを感じます。正統的な実力派シンガーですね。こちらもオススメです。

●第3位のアレックス・シンテックスは、坂本教授や小室哲哉のように数台のキーボーを華麗に操る男。音楽プロデュースもこなし、まだ若いのにポップの巨匠(マエストロ)と呼ばれたりしています。「Aleks Synteks y Gente Normal」(アレックス・シンテックと普通の人々)という3人組のリーダーとして活躍。途中でメンバーのひとりが脱退し、2人で活動を続けてきましたが、最近はソロ活動が目立ちます。彼が2年前に手がけた映画のサントラ盤は爆発的なヒットとなりました。

つぶらな瞳と体型がキューピー人形にそっくり。背中に緑の羽根が生えていても驚きません(笑)。声量があるタイプではなく、あえて例えるならKANや大江千里の歌い方をもっと可愛らしくした感じ。新婚ホヤホヤの彼は、偶然なことに元同僚のいとこです(前にも書きましたっけ?)。

さて、肝心の一位、二位ですが、来週も確実にランク入りしているハズなので、次回ゆっくり取り上げたいと思います!

続いてシングル・ランキング〜!

【ラテン・シングルTop10】TV Azteca調べ:10/6ー13

1.Sin Dudar/Ragazzi(ラガッツィ/メキシコ)
2.Entre azul y Buenas noches/Jeans(ジーンズ/メキシコ)
3.Prendiendo Fuego/Alan(アラン/メキシコ)
4.La Mentira/La Ley(ラ・レイ/チリ)
5.Asi es la vida/Elefante(エレファンテ/メキシコ)
6.Love Colada/OV7(OV7/メキシコ)
7.Tantina Pena/Alejandro Fernandez(アレハンドロ・フェルナンデス/メキシコ)
8.Por volverte a ver/Aleks Synteks(アレックス・シンテックスス/メキシコ)
9.Hoy/Morbo(モルボ/メキシコ)
10.Uff/Twist(ウフ/ベネズエラ)

● 今週はアイドル勢が元気。第10位のUffはベネズエラ出身の美少年6人組。それぞれCM
や雑誌モデルとして活動していましたが、第二のメヌード(リッキー・マーティンを輩出したプエルト・リコのアイドルグループ)を育成するオーディション(12才〜15才対象)に合格し、グループ結成となりました。1998年に地元テレビ番組で本格デビュー。翌年、メキシコのテレビ・アステカが所有するレコード会社アステカ・ミュージックとレコード契約。拠点をメキシコに移し、世界を視野に入れた本格的な芸能活動をスタートさせました。なぜか、メンバーの大半が米国の兄弟ポップ3人組゛Hanson゛を彷彿とさせるブロンド系長髪。第6位のOV7を手がけたプロデューサーがブレインに名を連ねています。

● そして第9位にMorboがランクイン! モエニアの元リードボーカル、ファン・カルロ
ス・ロサノがついに頭角を表わしました。モエニアの゛顔゛として君臨していた時代は、いつも黒いニット帽をかぶってましたが(実力派ユニット「ケミストリー」の川畑くんみたい)、現在はスキン・ヘッドに、アゴひげ&口ひげがトレードマーク。コワモテな風貌へとイメチェンしています。まだ少ししか聴いていませんが、楽曲的にはモエニアとあまり違いがないような…。今後に注目!

●第3位のアランは元マグネトのメンバー。期間限定で再結成し、アルバム発売とコンサートを成功させた後だけに、勢いが感じられます。第2位は女性アイドル4人組ジーンズ。10代前半でデビューしました。今やすっかりお年頃。化粧が濃くなってきているのが気になります(笑)。お兄さんもアイドル、というメンバーがひとり。マグネトの弟分的存在で゛メルクリオ゛っていうグループなんですけど、そういえば最近話題に出ませんね。解散したのでしょうか…。お恥ずかしながら(?)、友人に誘われてコンサートに行ったことがあります。ジャニーズ並の熱気にタジタジでした(笑)。

今週はここまで。また来週お会いしましょう!