■ 巷はラテンで溢れてる ■ Archivo#026 「ナチョ・リブレ」 ミニシアター観客動員数1位を記録した、超話題のメキシコが舞台となっているおバカ映画「ナチョ・リブレ」を観に行きました! ストーリーは、貧乏な修道院で育ち、現在はそこで食事係の修道士となったイグナシオことナチョが、子供達にお腹いっぱいサラダを食べさせたり、遠足に連れて行ったりしてやる為、ルチャドール(プロレスラー)としてお金を稼ごうとする奮闘話。そう、あの「フライ・トルメンタ」の実話を元にした映画なのです。 ハリウッド映画のため、セリフは残念ながら英語でしたが、メキシコ人俳優達のたどたどしい英語がこれまた映画にいい感じの「ゆるさ」を演出。撮影はオアハカで行われたらしく、おバカ映画でありながら「あたたかさ」がにじみ出ているのはメキシコ・マジックのおかげかも。最近、暗いニュースの多い日本ですが、「ナチョ・リブレ」を見たら悩んでいることもバカらしく思えて明るくなること間違いなし。小太り王子のナチョが、あなたの為に闘っていますよ〜。 ☆映画情報☆ (aya) Archivo#027 「キング 罪の王」 『アモーレス・ペロス』『天国の口・終わりの楽園』『モーターサイクル・ダイアリーズ』『アマロ神父の罪』『バッド・エデュケーション』・・・日本でも次々と作品が公開されて、日本でも知名度を上げたがエル・ガルシア・ベルナルの最新作。ブラックな衝撃作・・・と言われているこの作品を渋谷で見てきました☆ (ちょっぴりネタバレありなのでまっさらな状態で映画を観たい方はご遠慮ください。) 表情一つ変えずに、ほとんど悪びれもせず淡々と大罪を重ねていく主人公・エルビス(ガエル・ガルシア・ベルナル)。映画の中ではエルビスの過去や人物について多くは語られないため、何が彼をここまでの行動に走らせるのか、単純には理解することができませんでした。語られていないひどい過去があるのか、再会した父から最初に受けた仕打ちがすべての引き金なのか、それともエルビス自身のなかに暗く恐ろしい悪の性質が潜んでいるのか・・・。罪を犯すときのエルビスの無表情さがとってもコワイです。 エルビスの父が築いた「家庭」には、それなりに平和に暮らしていればどこにでもありそうな、小さな軋轢やお互いに対する不満があります。その関係自体には、爆発するほどの要素や衝動はなく、いつか何かのきっかけで小さな衝突が起きるかもしれない・・・という程度にしか見えません。ですが、そこにエルビスという存在が入り込んだだけで、大きな悲劇へと発展していくのです。 エルビスは父の家族の中に渦巻く不満については何も知らず、ましてそれを利用する策略など持ち合わせていない。あくまで衝動的に、単純に罪を重ねるだけのように見えます。それなのに、エルビスの行動が父の家族の抱える問題と微妙に絡み合って、エルビスの「罪」を成就させてしまうのです。自分たちの犯した罪に気づいておびえる腹違いの妹を前に、紙の王冠を作ってかぶってみせるエルビスの冷酷さに、こちらまで心が凍り付く思いがします。 あまりに淡々としているし、映画の舞台となっているテキサスの町が光に溢れているせいか、内容の暗さの割には「ものすごく後味が悪い!!!」ということはありませんが、とにかく元気をくれる映画『ナチョ・リブレ』とは対照的なこの映画、ナチョを観てからにするか観る前にするか!?迷うところかもしれません。(ちなみにどっちも渋谷、ハシゴ可です♪ 空き時間には、「たばこと塩の博物館」で開催中のテキーラ展へどうぞ。) ☆映画情報☆ (kanae) |
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