■ 巷はラテンで溢れてる ■


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Archivo#004 タンゴとフラメンコ、ライブレポート

2001年5月15日、江古田のライブハウス「バディ」にて小松亮太を中心にアーティスト達が集まり、アルゼンチン・タンゴ音楽のライブが行われた。メンバーの構成はバンドネオン4名、バイオリン3名、ビオラ1名、ベース1名、チェロ1名、ピアノ1名。ゲスト演奏者として、ボンゴ、オーボエも参加。日本でもここ数年から人気が定着してきたピアソラの曲はもちろん、他の作曲家達の曲も多く演奏。ボンゴが入った「タンガンゴ」(私は初めてボンゴの入ったタンゴを聴いた。やはりとても珍しいらしい)やピアノ中心の「星降る夜」(聴いていると、実際に無数の星が空からきらきら落ちてくる風景を感じた)、オーボエが入る「デデ」(これはピアソラが妻に贈った曲。オーボエの音が優しく、奥さまはかわいらしい人だったのかな、と想像させられた)など、ピアソラらしい個性的なタンゴ曲が印象に残った。

 ところで私はアルゼンチンに1年もいたにも関わらず、その間タンゴには全く関わらなかった。住んでいたところが首都・ブエノスアイレスにやけに対抗意識をもやしている第2都市・コルドバだったからか、あちらで知り合った友人達も、タンゴを聴いている人はいなかった。友達のお父さんやお母さんがタンゴを聴いたりしていたが。あちらの若者にとってタンゴは、日本の若者における演歌、とか盆踊り、とかそんな感覚だった。

 その後、マドンナ主演の「エビータ」が上映されたり、ヨーヨーマがピアソラの「リベルタンゴ」を演奏したり、タンゴが世界的に注目されるようになったが、実際にアルゼンチンでバンドネオンを製作している会社は1社だけで、そこの職人さん達もかなり高齢化しているらしい。2年ほど前に日本でも上映されたカルロス・サウラ監督の「タンゴ」という映画出演者を見ても、ダンサーには若い人がいたが、演奏者は高齢の方が多かった(メンバー全員が90歳前後のバンドもいた。演奏は素晴らしかった)。

 そんな楽器を、アルゼンチンから一番遠いところに位置する日本で演奏をする若者が、その日のライブには4人も集まったのだ。しかも小松亮太はもちろん、他の3人も十分に聴き応えのある演奏。バンドネオン以外で参加していたアーティスト達もそれぞれにタンゴバンドで活躍している。

 最初にも述べたがタンゴにしては珍しい曲種の演奏もあり、「こんなのが日本で聴けるなんて!!」と感動した夜だった。

 そしてタンゴを堪能した夜から数日後、5月20日にフラメンコ界の神様としてフラメンコのアーティスト達、アフィシオナード(ファン)達から絶大なる尊敬を集め、またギター・レビュー誌において「すべてのジャンルにおいて最も進んだギタリスト」と評されているパコ・デ・ルシア率いるセクステットのコンサートがBUNKAMURAオーチャードホールで行われた。

 フラメンコはスペイン南部に住んでいたジプシー達の音楽である。日本ではここ最近、OL、主婦ら女性にフラメンコダンスが大流行中で、フラメンコというと、踊り、というイメージが強いが、実際はカンテと呼ばれる歌があり、そこにギターと踊りが加わっていったのである。

メンバーの構成はギターがパコ以外に2人、ベースが1人、パーカッションが1人、フルート(サックスも吹く)が1人、歌い手が1人、ダンサーが1人、となっており、それぞれがそれぞれの分野で一流のアーティスト達である。

 開演時間になると、ギターを持ったパコが1人で登場。椅子に座って、何気なく演奏を始めた。若くして亡くなった、天才フラメンコ歌手であり、かつての相棒であるカマロンに捧げる曲である。天才・パコの指から出る演奏は、これが1本のギターから出る音とは思えないほど立体的で、思わず、パコには指が20本くらいあるにちがいない、とパコの指を凝視してしまった。パコのCDは何枚も聴いていたが、生の演奏が、CDの完成された音に全く劣らず、またはそれ以上である、ということのすごさ。高度な技術を駆使して演奏しているにも関わらず、全くそんなそぶりを見せないパコ。そしてそんなパコを盛り上げる他のメンバーも全く気負わず、楽しそうに演奏し、パルマ(手拍子)を打ち、踊る。まさに一流アーティスト達が出すオーラとパフォーマンスに鳥肌がたちっぱなしであった。

 タンゴとフラメンコ、ジャンルは違うがラテン音楽にどっぷりつかった1週間だった。私達が一概に言っている「ラテン」は国の範囲も広く、そこには様々な音楽がある。そして日本では、結構それを簡単にライブで直接に触れることができるのである。音楽を聴いていると心が興奮して明るくなるし、その音楽をきっかけにその国について興味を持ったりする。こうやってどんどん日本にもラテン文化が根付いていけば嬉しいなぁ!!


Archivo#003 タコライスなのにタコがない!?

メキシコレストラン、
エル・アルボルのタコアロス

 みなさん、タコライスを食べたことがありますか?東京では、少し前に情報誌や情報番組で取り上げられ、お洒落なカフェがメニューに加えたりしていたので、ご存知の方も多いハズ。たまにスーパーでレトルト・パックを見かけます。一部の地域(?)では、ローソンのお弁当コーナーに並んでいたみたいですけど、まだ売ってるのかな?

 発祥地は沖縄県の金武町。博多にラーメン屋が多いのと同じで、この町にはタコライスのお店が並んでいるようですが、“元祖といえば「キングタコス」”が定説らしいです。さすがはタコスの王様、お目が高い!?

 このタコライス、沖縄では数年前から市民権を獲得し、いまや定番料理。1998年5月3日の沖縄タイムス社に、興味深い記事を見つけました。業務用“タコライスの具”を製造している会社のお話で、「1週間に3日、100キロずつの合挽き肉を加工。味の基本となる秘伝のスパイス15種類!を肉と一緒に蒸気釜に入れて2時間煮込み、一晩寝かせてから真空パックにしている」とのこと。この会社は1992年6月に発売を開始。94年には学校給食のメニューに採用され、翌年に「那覇の物産と観光展」でレトルトパックが優秀賞を受賞するまでになりました。タコライス文化は1日にしてならず!! 社長さんはタコライスに対する想いをこう語っています。

「沖縄生まれのタコライスを全国に、海外に広めたい」

 男のロマンじゃないですか!心打たれたので、私も考えてみました。“モス・バーガーと提携してタコライスバーガーを商品化する!”

 ところで、実は私、先日タコライス・デビューを飾ったばかり。目の前に出されるまでは、『笑っていいとも!』の初体験コーナーを目前にしたタレントの心境でした。記念すべき初タコライスを食べさせていただいたのは、東京・四谷のメキシコ料理屋『エル・アルボル』。メキシカン・ハットのイラストがトレードマークのお店です。メニューを開いて、「???」。「タコライス」と「タコ・アロス」という2つの名前が書かれています。“アロス”はスペイン語で“ライス”の意味ですから、日本語にすると両方“タコごはん”(笑)。どちらが本物のタコライス??

 しかし、そこは親切がモットーのお店。よく見るとちゃんと説明書きがありました。

タコライス:“トルティーヤの中にライス、青トウガラシ、チーズ入り”。

タコ・アロス:“ライスの上にタコスの具を乗せてピリ辛!!”

となると、私のお目当ては「タコ・アロス」。 巷で「タコライス」と称されている料理が、なぜこのお店では「タコ・アロス」なのでしょう?

 実はこの店の「タコライス=“トルティーヤの中にライス、青トウガラシ、チーズ入り”」は、「沖縄のタコライス」が広まる前からメニューに載っており、売れ筋の一品です。ちなみにメキシコ人なら、“taco de arroz”(直訳すると“ご飯のタコ”)と表現するでしょう。本来「タコ」とは、トルティーヤ(トウモロコシの粉で出来た皮)に具を挟んだ食べ物。具はお好みでいくらでも変えられますが、「タコ」と呼ぶからには、このトルティーヤは不可欠なのです。時は流れ1994年、『エル・アルボル』で新しく「沖縄のタコライス」をメニューに加えることになりました。しかし名前を変える必要があります。そこで、“ライス”の部分をスペイン語の“アロス”にかえて、「タコ・アロス」としてデビューさせるに至りました。めでたしめでたし。頭を整理して、ここで簡単にまとめてみますね。

“日本のタコライスにはタコ(=トルティージャ)がない!”

ということです(笑)。

 さてさて、名物ママが運んでくれたタコ・アロスはサラダのようでした。シャキシャキの千切りレタスに、刻みトマトとアボガドが惜しみなく盛ってあります。しかし、スプーンで中をほじくると、汁気の少ないミートソースがかけられており、一番下に白いご飯が覗いていました。え? おいしそうじゃない? それは私の文章力がいたらないからです(苦笑)。だって、お味はサイコーでしたもの!! お野菜たっぷり! ヘルシーで一度食べたらやみつきです。その後、某メキシコ料理屋でも注文してみましたが、エル・アルボルの味には勝てませんでしたね。それもそのはず、ママさんの妹さんは沖縄在住。そしてメキシコ料理歴20年!というマスターには、社長さんもビックリ!? “秘伝のピリ辛ソース”があるのです。鬼に金棒とはまさにこのこと。タコライスを食べたことがない人、かつて食べたけど好きになれなかったという人、是非一度お試しを。でも忘れないで下さいね。その際は、大きな声で「タコ・アロス!」と注文しましょう(笑)。

(Otokita)

エル・アルボル >>地図
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-7(第2鹿倉ビル1F)
Tel:03-3357-6868/Fax:03-3359-5431
URL http://home9.highway.ne.jp/el-arbol/
※レストラン検索サイト「ぐるなび」にも登録されてます。


Archivo#002 新発売!モスの「ピリマメバーガー」に涙!

 忘れもしない1991年。

 この年、私は生まれて初めて食べた「ハラペーニョ」(メキシコ料理に欠かせない激辛唐辛子。ピザにもよく乗っかっている緑色のやつです。)にハマってました。場所は都内のモスバーガー。「なんじゃ、この辛さ」と目に涙を浮かべつつ、まだ見ぬメヒコに熱〜い思いをはせながら・・・

 そして月日は流れ、2001年4月27日。モスバーガーに再びメキシカンな新メニューが登場! “豆と赤唐辛子だ”をキャッチフレーズに、「ピリマメバーガー」(価格320円/税別)と「ピリマメチーズバーガー」(価格350円/税別)が仲間に加わりました。

 豆と唐辛子。なんて絶妙な組み合わせ、メキシコ料理好きならば、迷うことなくお店に Go!でしょう。

 ハラペーニョに魅せられたあの日から、本場メヒコでの経験を含め百戦錬磨。食したChile(チリ)は数知れず。達人とまではいかないまでも、チリにはちょいとうるさいよん、と言えるまで成長した私。それでも、やっぱりモスバーガーには完敗!!! 総合評価★★★の3星満点!大満足のおいしさでした。

 以下、同社ホームページより抜粋しますが、決して誇大広告ではないことを保証します。


「ピリマメバーガー」はソースにレッドキドニ豆(金時豆)を使用。牛挽き肉、玉ねぎ、トマトを一緒にコトコト煮込み、スパイスとしてチリペッパーを日本人好みの程良い辛さで加えました。仕上げにオレガノ、クミンを使用し、コク・辛味・香りが絶妙なハーモニーを醸し出すモス自慢のオリジナルソースです。あつあつのソースがジューシーなハンバーガーを一層引き立て、一度食べたら忘れられない味に仕上がっています。

「ピリマメチーズバーガー」は、このモスオリジナルの「ピリマメバーガー」にチェダー、ゴーダ、エメンタールの3種をブレンドしたチーズを加えた、ボリューム感たっぷりのバーガーです。ソース本来の辛みのなかに生まれたまろやかなテイストをお楽しみ下さい。


 ちなみに販売は期間限定(6月14日まで)。あの、とろける豆の食感と心地よい辛さ、是非皆さんも味わってみて下さい。 


Archivo #001 ラテンの大波はすぐそこまでやって来ている!?

 今やキューバの国宝と化した「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の長老方やプエルト・リコ出身のリッキー・マーティンの上陸とともに、久々に日本にやって来たラテンの波。最近ではクリスティーナ・アギレラやジェニファー・ロペスの活躍も目立ち、メキシコが舞台の映画「ザ・メキシカン」や「トラフィック」も相次いで公開されています。とはいえ、ラテンパワー炸裂!まではあと一歩といった感じ。ラテン文化がニッポンでメージャー昇格し、確固たる地位を築くための応援企画であるこのコーナーでは、身近にある“ラテンなもの”を取り上げながら、サーファーもびっくりの“ビック・ウエイブ”、すなわちラテンの一大ブームを楽しみに待ちたいと思っています。もしかしたら、ここから火がつくかも!?

 そんな訳で、第1回目の今回は沖縄出身の4人組DA PUMPの新曲「CORAZON」をご紹介。この曲は、『劇空間プロ野球』(日本テレビの野球中継番組)のテーマソングに選ばれています。ご存知のかたも多いでしょうが、「Corazon」はスペイン語。日本語で「ココロ」、英語で「Heart」を意味しています。テーマは切ないラブ・ソング。サビの部分にもスペイン語のフレーズが使われています。情景が浮かぶように少し手前から抜粋してみますね。

君がくれた愛の言葉 今もずっと めくりめくのさ
ああ嘘じゃない ああ夢じゃない でも思いはつのるだけ
Melancolico Triste Corazon まだ虜
見えない君を
Melancolico Triste Corazon
まだ惹かれてる

 「Melancolico」(メランコリコ)は「メランコリック」のこと。「Triste Corazon」(トゥリステ・コラソン)は“可愛そうな僕のハート”といった感じでしょうか。歌詞はボーカルのISSAにm.c.A・Tと二人の名前がクレジットされていますが、“メランコリコ〜♪”に“まだトリコ〜♪”と韻を踏んでいるあたり、何とも心憎いじゃないですか。曲調にもラテンのリズムが漂ってます。先日、某歌番組で見ましたが、ダンスもノリノリでしたよ。これを期に、ラテン要素を取り入れた楽曲をどんどん発表してほしいものです。いっそ我々でラテン親善大使に任命しましょうか? (Otokita)