一期一会 テポストラン編 (3)

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3度目のテポストランは登山ではなく、3度目のホームステイ先のママの友達に会いに行ったのです。テポストラン山麓のメルカド(市場)でおみやげを調達し、細い道を入り、もうどこにいるのか分からなくなってしまった私を横目にママは壊れそうな車をうまくなだめてゆっくりと走ります。高級そうな家々が並ぶ中に、目的の家はありました。ゴージャスと言うのではく、好感の持てる品と自然の良さを生かしたおうちがそこにはありました。コーヒーの木や色とりどりの花があって、獣よけか、木でできた人間の置物が何体かあり、目のところにはビー玉がはめ込まれていました。そして、なんと言っても家の屋上から見るテポストランの山々のすばらしさには呆然としてしまいました。家を持つならココだなと勝手に想像してしまうくらいです。それくらい、景色が素晴らしいのです。

そう思うのは私だけではないようで、このテポストランには外国人がたくさん住んでいるそうです。この日訪れたママの友達もそのひとり。アメリカ人の彼女は私と同じ語学学校でスペイン語を勉強して、そのままメキシコが気に入ってしまい、今は学校で英語を教えながらテポストランで生活をしています。その日はアメリカに住む娘さんが夏休みで彼女のところに遊びに来ていました。しかも、私と同じ年の娘さんです!とってもきれいで大人っぽい娘さん・・・とても同じ年頃には見えませんでした。

みんなでお食事。とってもすてきなキッチンには数々のメキシコ料理が並んでいました。私の大好きなサボテンのソテーもありました。お酒を片手に、おいしい料理、女4人で楽しいおしゃべり・・・幸せな時間です。そんな中、ママの友達が「あのね、これ歌詞が分からないんだけど、大好きな歌なのよー」とおもむろに音楽をかけ始めたのです。「Eres tu」というタイトルのその曲。メキシコでは有名な曲なのか、ママも一緒になって歌います。娘さんも「ママがね、いつもここんところだけ歌うから覚えちゃったの」と一緒に歌います。そのうち私も覚えてしまって、一緒に歌い始め、女4人の大合唱となりました(笑)
「帰ったら歌詞をメールで送るわね」とママが約束をして日が暮れる前に家へと戻りました。帰る車の中、私の頭には「Eres tu」のメロディーとサビの歌詞だけがぐるぐると回っていていました。もちろん、翌日学校の後すぐにCDを買いに行きましたよ!

今でも「Eres tu」を聴くたび、この日のことを思い出します。何度思い出しても大切な1日だなあと思います。そんな1日に出会えたことがとても幸せだなあと緑茶を片手にしみじみ感じています。

そういえば、この日のママは確実に飲酒運転ですね・・・まあ、いっか。

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