一期一会 教会編 (1)

メキシコ アニメ事情

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クエルナバカ滞在中の私のお気に入りスポットのひとつがカテドラル(大聖堂)でした。セントロ(中心街)から歩いて間もなくのところにあるカテドラルはいつものんびりとしていて、大聖堂の中のちょっとひんやりとした空気は外の熱さにほてる体を気持ちよく冷やしてくれます。


カテドラルの近くにある庭園にて。子供の笑顔が素敵だったのでシャッターを切りました。

そして、いつも見入ってしまうのはこの大聖堂に描かれている壁画です。初めて壁画を見たのは、初めてメキシコの地を踏んだ翌日のことでした。メキシコ人ガイドさんに連れられてきたこの大聖堂で、彼は一生懸命なにかを説明しているのですが、当時ほとんどスペイン語の分からなかった私には何のことだかさっぱり分かりませんでした。説明を聞いても分からないと開き直った私はいつもの癖で周辺ウォッチングを始めました。その時、ふっとガイドさんの指差すほうに目を向けると“TAYCOSAMA(太閤秀吉のこと)”という文字が目に付きました。よく目を凝らすと描かれていた壁画は、長崎でおきた日本人キリスト者と宣教師のはりつけの場面だったのです。ひとりの日本人として、衝撃的な一瞬でした。それでも、この場所は私の大好きな場所でした。ことあるごとに私は大聖堂へ向かい、静かに腰を下ろして時間を過ごしていました。

セントロで買い物を終えて、帰りのバスに乗る前にふらっとカテドラルに立ち寄ったことがありました。蚊に刺されないように気をつけながら、ちょっとした階段に腰を下ろしてただただ大聖堂を外から眺めていると、不意に右手のほうであかりが燈ったのです。大聖堂の横にあった野外聖堂でした。それはとても暖かいひかりでした。気がつくと、あたりはうっすらと暗くなりかけていました。“そろそろ帰らないと、暗くなってしまうな”と思った私は、腰を上げ敷地内をのんびり散歩しながら帰路に着きました。途中何人かのメキシコ人とすれ違いましたが、ピロポ攻撃にも慣れてきていたのですたすたと歩いていると、聞いたことの無いピロポ攻撃にあいました。なんて言われたと思います?すれ違いざま「ちびまるこちゃ〜ん」って言われたんですよ!思わず振り返ってしまいました(苦笑)。犯人は口髭に憎めない笑顔のチャパリートでした。

世界のアニメの6割は日本製だという話を聞いたことがあります。日本のアニメが海外でも人気があるというのは知っていましたが、その影響がこういうかたちで自分に降りかかってくるとは思ってもみなかったので正直驚きました。セントロを歩いていると猫のように首をつかまれてぶら下げられているピカチュウ(かなり変形しているので一瞬分からない)とか、私にも分からないような、でもいかにも日本にありそうなアニメキャラクターのグッツやテレビ番組を見かけます。どの年代にも知られているように思えたのはハイジ(スペイン語ではヘイディ)でしたね。これなら私も分かります。

二つの疑問があります。
ひとつは、日本でも有名なアニメ、アンパンマン。“アンパン”は日本の食べ物。甘い豆を食べない彼らにとって、アンパンマンは正義の味方になれるのか?
もうひとつは、私にちびまるこちゃんと言った口髭チャパリート。私が日本人だから言ったのか、それとも私がちびまるこちゃんに似ているからついつい言ってしまったのか、どっちだ?

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