NYラテン日記 第1回 バリオをお散歩

ガイドブックには「危ないから行ってはいけない」と必ず書いてある所、それがバリオ(イーストハーレムまたはスパニッシュハーレム)です。ここはサルサ発祥の地であり、今回の訪米の目的地のひとつでもありました。


ティト・プエンテ通り

ある晴れた土曜日の午後、メトロ6で125stまで北上。メインストリートを歩き、ここからLexington Ave.沿いに南下します。時々通りすがりの車やデリの入り口からメレンゲやバチャータ、サルサが流れてきます。時おりプロジェクト(低所得者用住宅)の上階から、とんでもなく巨大な音が聞こえてくるのにびっくり。とても日本の騒音の比ではありません。

並んでいるのはいずれも小規模な店ばかり。間口はみな一様小さいです。メインストリートなのに、時々家の形をしているのが不思議なくらいの廃墟をみかけます。家の前に椅子を持ち出して座っている人も。これはブラックハーレムも共通でした。

ちょっと覗いてみた116stはにぎやかな通りのようです。あとでゆっくり見ることにして、太陽に顔を向けながら真っ直ぐ進みます。「マンボ・キング」こと、故ティト・プエンテの名を関した通りがあったので、思わず写真撮影。他のアーティストのも、探したらありそうな感じです。

小さな急坂を登って96stまで行ったら、今度は1本東側の3rdAve.沿いに125St.まで北上します。こちらの方が道幅が広く、にぎわっているようです。この辺でようやく中華レストランやアジア系の人の姿をちらほら見かけるようになりました。

先ほどの116StでCD屋さんを発見。Fernadez Records (167 East116 St. TEL 717-871-2120)です。中に入ると英語のPOPSはほんのちょっぴりで、あとは大量のサルサ、メレンゲ、バラーダ、ラテンロックにメキシカンetc...入り口は小さい店ですが、奥行きは意外とありました。30分くらいはいたでしょうか。お店のおじさんにかかっていた曲とアーティストを教えてもらい、CDを3枚購入してまたお散歩を続けます。

レコード店(1Fは楽器屋)文中のフェルナンデスレコードとは別のお店。

125丁目に近づくに連れて大型店舗やスポーツジムが見えて来ました。本当はこの辺で何か軽く食べようと思っていたのですが、店先に見えた1本丸ごとの揚げバナナを見て胃袋が拒否。路上で売っているアボカドも日本の3倍くらいの大きさです。

「エルビス・クレスポの曲がこの辺でも人気なんだな」とか「同じラテン系でもヒップホップの方がトロピカルな曲より人気なんだな」などと聞こえて来る音楽に耳を傾けつつ、ちょっとリズムにあわせて体が動いてしまったりします。

125丁目に戻るまで約1時間。サルサ発祥の地は普通の、ちょっと小汚い町並みでしたが、バリオの雰囲気を味わって自分がその中にいるんだと思えただけでも楽しかったです。ただし人にはあまりお勧めしません。どうしても行きたい人はくれぐれも気をつけて。Suerte!


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